福島第一原発の溶け落ちた核燃料=燃料デブリの試験的な取り出しがミスにより中断されてから、5日で2週間が経ちました。東京電力は5日、一連の経緯について説明し、早ければ来週にも作業を再開させる考えを示しました。

福島第一原発2号機では8月22日、燃料デブリの試験的な取り出しに着手する予定でしたが、作業員が装置を押し込むパイプの順番を間違えるミスがあり、中断されていました。

中断から2週間。東電は5日、会見を開いて、詳しい内容を説明しました。

東電廃炉推進カンパニー・小野明代表「念には念を入れて作業を行ってきたところではございますが、それに付随する一般作業の部分において管理が十分でなかったということが、今回の事案の直接の要因だと考えてございます」

東電の会見

順番を間違えたパイプは、7月27日に仮置きされたもので、8月22日の作業開始まで、並び順が間違ったままでした。現場の放射線量が高く、仮置きにあたった作業員は、早く立ち去ることに気をとられ、最終確認はされていなかったということです。また、これらの準備作業について、東電の社員が確認していなかったことも、明らかになりました。

小野代表「現場の環境等を考えると、当社もそこはしっかり責任のある者として、まずその責任を果たす意味でも確認をすべきだったろうというのが一番の反省です」

その上で東電は作業の再開について、「順調に準備作業が進めば、早ければ来週にもできる見込み」との見通しを示しました。

会見では、ミスに至った経緯も説明されました。パイプの順番はなぜ間違っていたのでしょうか。

高線量、重装備…ミスはなぜ起きた?

パイプは7月27日に、協力企業の作業員が搬入しました。このとき、2番から5番までを搬入したところで、放射線量が高かったため、早く現場を離れる必要があり、「1番」のパイプを仮置きの状態にしていました。

そして、この翌日、パイプにケーブルを通す作業が行われましたが、別の担当者が、パイプが1本足りないことに気づきます。

ここで、パイプは1本残っていることに気づいたわけですが、報告や周囲の状況から、仮置きされていた1番を「2番」だと判断してしまいました。

押し込みパイプは2番から4番までは、同じ作りになっているため、被ばく量低減の観点から、4番と5番の間に、2番(実際は1番)を入れるよう指示があり「2、3、4、1、5」の順で、パイプが並べられました。

そして、パイプはこの状態のまま、作業開始の8月22日を迎えることになりました。

ミスが起きた背景の1つに、高線量で重装備が必要な環境だったために、短時間での作業が求められたことがあげられます。また、こうした準備作業を東電の社員は確認していませんでした。廃炉の最高責任者は、「管理が十分でなったことが今回の直接の要因」としていて、今後は社員による確認を進めていくとしています。

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