パワハラ疑惑などが調査されている兵庫県の斎藤知事をめぐって、新事実です。知事が幹部職員と交わしていたチャットの履歴を調べたところ、深夜・休日などの業務時間外でのやりとりが、1年間に2000件以上あったことがJNNの取材でわかりました。
「私は激怒しています」午後9時21分に知事からチャット…やりとり約2時間
熊崎風斗キャスター:
パワハラ疑惑などが指摘されている兵庫県の斎藤元彦知事をめぐって、新たにわかってきたことなどがあります。
2024年3月の告発文の中に「チャットによる時間お構いなしの指示が矢のようにやってくる」という文章がありました。これについて、百条委員会が調査をしています。
知事と幹部職員のチャットの履歴について、JNN調べでは、知事が送信者・受信者の投稿が2023年4月から2024年3月までで、4885件ありました。
このうち深夜・休日などの業務時間外が2165件もあったということです。
そのうちの1つですが、毎年9月に開催されている豊岡演劇祭についてです。1年前に、日程調整に行き違いがあったそうです。
とある土曜日の午後9時21分に、知事から「昨年何も予定を入れず直前までスルーしていたので私は激怒しています。ちゃんと留意をしておいてください」という文章が送られて、担当職員は「承知しました」と答えました。(8月30日百条委員会より)
このやりとりが結構長く、この後もどんどん続いていきました。
斎藤知事
「担当局長に任せきりだからダメなんですよ」
「月曜日にレクをしてください。担当局長はWEBで参加させることをあらかじめ釘を刺しておいてください」
「全くわかっていない」
担当職員(土曜日午後11時46分)
「申し訳ございません」
いろんなやりとりがあって、開始から約2時間後まで続いたということがあったそうです。
なぜこのタイミング? 午後11時すぎに「サンダースさんの政策が非常に興味があるから分析しておいて」
熊崎キャスター:
他には、ひょうご家計応援キャンペーンの「はばタンPay+」のポスターに、知事の写真が載っていなかったので、変更したこともありました。
また、広報用うちわをめぐり、とある日の午後9時16分、斎藤知事が「(広報用うちわに)自分の顔写真がない」と送り、そのやりとりが午後11時19分まで行われていたそうです。
8月30日の百条委員会で、委員は「翌朝に関係者を集めて30分で決められる話を(業務時間外の)夜にしている」という指摘もしていました。
このタイミングでするのかという内容もあります。
アメリカのバーニー・サンダース上院議員(82)について、とある日の午後11時ごろ、斎藤知事から「アメリカの大統領選にも立候補されたバーニー・サンダースさんの政策が非常に興味があるから分析しておいてくれ」というチャットの文章が送られて、翌日午前6時2分に担当職員は「承知しました」と答えました。
9月4日午前、斎藤知事は「幹部職員ということもあって、気持ちの甘えがあった。負担に思われた幹部職員にはお詫び申し上げたい」と話しました。
萩谷麻衣子弁護士「業務の適正な範囲ではないと認定される可能性」
井上貴博キャスター:
個人的には、休日に連絡が来るのはそんなに嫌なタイプではないんですけど、現在の民間企業の考えとして「しない」のはスタンダードでしょうね。
萩谷麻衣子弁護士:
休日や勤務時間外に連絡すること自体が直ちに悪いことではないんですが、やはり回数や内容によってはパワハラだということになると思います。
この問題を見ると、やはり回数が相当ですよね。例えば、回答を求めてないとしても、送られた人が回答しない限り、何度も送られてきたりすると、それは業務の適正な範囲ではないのではないかと認定される可能性はあると思います。
ホラン千秋キャスター:
街の人が「緊急の場合だったら」という話がありましたけど、これが緊急なのかどうかわかりませんが「私は激怒しています」みたいな文言が入っていると、「何のことだろう」「何かやっちゃったんじゃないか」と、既読をつけなかったとしても、勤務時間外の休みの間、ずっと気になってしまうじゃないですか。
萩谷麻衣子弁護士:
そうですよね。しかも知事と職員は、上司と部下みたいな関係ですよね。その人からこういうメッセージが来たら、やはり対応せざるを得ない。
それを送るのはちょっと配慮も足りなく、何度もということであればパワハラの可能性は十分あると思います。
でも、何か違法性があるかどうかの問題ではなく、この人が知事にいて、県の職員と適切なコミュニケーションをとって、円滑に県政ができるかどうかの問題になってきていると私は思います。
9月6日に2回目の証人尋問へ
熊崎キャスター:
9月6日に、百条委員会が開かれます。斎藤知事に対して、2回目の証人尋問が行われ、どういうやりとり・結果になっていくのか注目されます。
井上キャスター:
1回目と同じで“自分は悪くない”ということを、ご本人は通すでしょうけど、「俺は知事だぞ」と発言したとされますが、その言葉がこの人の考えを集約しているのかなというか、象徴しているなと感じてしまいます。
萩谷麻衣子弁護士:
「自分は県民から選ばれた」「付託を受けた」ということの意識が強すぎる。県民の方も、こういう知事・こういう人と知って選んだかどうかも、ちょっと疑問に思います。
井上キャスター:
投票のときには、わからないと思うんですよ。
萩谷麻衣子弁護士:
わからないので、議会が不信任決議などで、本気で追及する姿勢を見せるべきではないかと思います。
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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当
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