記者会見で質問に答える武見敬三厚労相=2024年9月3日
武見氏は、医療のデジタル化に向けて「マイナ保険証は極めて重要な役割を持っている」と強調する一方、「移行期における不安解消の努力は、徹底してやらなきゃいけない」とも述べた。◆保険証廃止は譲らず「積極的に利用いただけるよう」
東京新聞は、マイナ保険証を使うという人たちの半数近くが現行保険証とマイナ保険証との選択制を望んだことを示しながら、アンケート結果の受け止めや現行の保険証廃止を見直す考えはないかを尋ねた。 武見氏は「アンケートの結果では、情報漏えいが不安といった声が寄せられる一方で、メリットを実感される方もいらっしゃると認識をしております」と述べた。 現行保険証廃止を見直しするかどうかは、はっきりとは言及せず、「より多くのみなさまにメリットを感じていただき、積極的にご利用いただけるよう、不安の解消にも努めていく」と語った。 東京新聞は再質問で、アンケートに寄せられた高齢の家族への心配や読み取り機のトラブルへの不安の声を紹介した。 記者が「メリットの強調だけでは、そういった国民には届かないと思います」と語ると、武見氏は質問を遮って「当然です」と語気を強めた。 記者は、具体的な不安解消策を尋ねた。 武見氏は「移行期に、なかなかついていけない方々の事情があることも、私どもは正確にきちんと把握をして、移行期における不安解消の努力は徹底してやらなきゃいけない」と答えた。◆河野太郎氏「使い方のルールを周知」
この日、河野太郎デジタル相の記者会見でも、現行の保険証廃止の質問があった。 記者は、保険証廃止に関する厚労省のパブリックコメント寄せられた意見約5万3000件うち、多くが廃止に批判的だったことを指摘し、マイナ保険証と現行保険証を併存させる考えはないかを尋ねた。 河野氏は「12月2日からマイナンバーカード保険証を基本とするシステムに移行する方針には変わりございません」と返答。マイナ保険証を読み取るカードリーダーのトラブル対応などに触れ、「しっかり使い方のルールを周知広報して、不安を払拭していきたい」と述べた。◆これまでの利用促進策ではトラブルも
政府はこれまで広報で、マイナ保険証のメリットを強調してきた。 薬局や病院に対し5月から患者にマイナ利用を促す声かけを強化するように求めた際は、厚労省が示した声かけの「台本」やチラシで、保険証代わりになる「資格確認書」の説明が省かれていた。マイナ保険証が必須だと誤解するトラブルが相次ぎ、政府の強引さを批判する声が出ていた。(福岡範行) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。