1923年の関東大震災直後に虐殺された朝鮮人青年を悼み、さいたま市内で4日に予定されている式典に、埼玉県の大野元裕知事が追悼文を送ったことが分かった。大野知事が朝鮮人虐殺を巡り追悼文を送るのは初めて。

埼玉県の大野元裕知事(資料写真)

 追悼文は、旧片柳村(さいたま市見沼区)で殺された姜大興(カンデフン)さん=当時(24)=の追悼式の実行委員会が依頼。大野知事は本紙の取材に「前向きに検討中」としていた。  実行委によると、震災から101年となる1日にメールで届いた。「震災で犠牲になった全ての方々の御霊(みたま)に、衷心(ちゅうしん)より哀悼の意を捧(ささ)げます」との文面で、虐殺や姜さんには直接言及していない。実行委の小川満事務局長は「もう少し踏み込んでほしかったが、意味があるメッセージだと思う」と受け止めた。  大野知事は8月27日の記者会見で「デマに基づいて朝鮮人に対する虐殺があったということについては、痛心(つうしん)に堪(た)えない」と述べ、追悼文送付を検討する考えを示していた。  県内では1日、朝鮮人の犠牲者が多かった熊谷市、本庄市、上里(かみさと)町で自治体主催の追悼行事があり、各市町の首長が参列。大野知事はこれらの行事にも追悼メッセージを送るよう関係団体から求められたが「主催者から要請がない」として応じなかった。  1日の東京都内での式典では、小池百合子都知事が今年も追悼文を送らなかった。(杉浦正至) 

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