長野市で45年間に渡って営業を続けてきた喫茶店が閉店となり、最後の1日に密着しました。

長野市鶴賀の「珈琲館珈香(こか)」。

24日、開店は7時半ですが、その前から大勢の客が詰めかけました。

店を切り盛りするのはマスターの久保田富夫(くぼた・とみお)さん64歳です。

19歳の時にこの場所に店を構えて以降、45年に渡って、営業を続けてきました。

久保田さんは「本当に感謝です。みんな仲間のおかげでここまでやって来られた」と話します。

自慢は創業以来変わらないサイフォンで淹れるこだわりのコーヒー。
そのほかにも、どこか懐かしさを感じるクリームソーダに、モーニングで提供する厚さ5センチほどのトーストも、こだわりの一品です。

店を支えてくれたのは大勢の常連客。最終日は店を訪れ、最後のひとときを楽しんでいました。

訪れた人は:
「昔ながらの喫茶店が今本当になくなってきていて、寂しい中でマスターが頑張ってくれていた」
「マスターの愛情が入っているのを感じますし、このコーヒーで1日頑張れる」

マスターの久保田さんが店を出る客に必ずかけてきた言葉があります。

それは「いってらっしゃい」です。

久保田さん:
「いろんなお店の中から珈香を選んでくれている、その人たちに感謝を込めてというのと、みんなここから仕事に行ったり、俗にいう社会へ出ていくわけですよ、本当に元気で行ってきてねということで、いってらっしゃいです、お帰りは言わないです」



これだけ人気があるのに、なぜやめてしまうのでしょうか?

久保田さん:
「本当に体調がダメなんだよ、体の調子だけ、それがなかったら・・・・もうこんなに素敵な仕事はない。時代が昭和、平成、令和と変わって何もお店のメニューとか変わっていない、良くこれだけお客さんが来てくれるなと、自分が不思議」

午後になっても客足は途切れず、4時すぎ、閉店の時間を迎えました。

最後は、常連客が淹れた1杯のコーヒーと、ケーキのサプライズが用意されました。

久保田さん:
「こんなエンディングを迎えられるとは思わなかったから、うれしい。店はなくなっちゃうけど、みんな一人ずつ少しでいいから記憶に残ってってもらえればありがたいです。幸せです」

多くの常連客に愛され、惜しまれながら営業を終えた「珈琲館珈香」。

店内はマスターが45年の間に築いてきたあたたかな雰囲気に最後まで包まれていました。

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