在来種の生存を脅かす厄介者「アメリカザリガニ」の話題です。宮城県大崎市のため池で捕獲したザリガニを、食材として活用しようと取り組むNPO法人の男性が、ザリガニをよりおいしくすることに成功し8月、市内で販売もしました。その名も高級ザリガニ。食べてもらうことが生態系を守る支援にもつながる。その取り組みに密着しました。

「赤いアイツ」が、から揚げや炒め物に

仙台市泉区の中華料理店で提供されている赤色の食材。アメリカザリガニです。

この店では、アメリカザリガニに下味をつけて揚げた「から揚げ」のほかニンニクやネギなどと一緒に炒めた料理として提供しています。

聚鮮楼 田中翔店主:
「これがアメリカザリガニです。(Q どこから仕入れてきている?)鹿島台の高橋さんから」

そこで、大崎市鹿島台へ。中華料理店にザリガニを提供しているのが、NPO法人シナイモツゴ郷の会の高橋清孝さん(72)です。

シナイモツゴ郷の会 高橋清孝理事長:
「ここにいるのが小型のザリガニで、こんな形で1つの水槽に2キロから3キロ入っています」

高橋さんは、絶滅危惧種に指定されている「シナイモツゴ」など多くの魚や水生昆虫が生息する大崎市鹿島台のため池で、在来種を保護する活動を行っています。

駆除した「赤いアイツ」20万匹!

その生態系を脅かす厄介者が外来種の「アメリカザリガニ」です。

会では、2014年からアメリカザリガニの駆除を始め、これまでに捕った数はおよそ20万匹にのぼります。

一方、駆除活動を継続していくうえで課題となっているのが資金確保です。

シナイモツゴ郷の会 高橋清孝理事長:
「続けるためには資金が必要で、その資金の一部とするために捕ったザリガニが大量にあるわけなので。皆に食べてもらい支援してもらう」

そうした中、高橋さんは去年7月から自宅でアメリカザリガニの飼育を始めました。きっかけは、アメリカザリガニの体内に存在するアミノ酸を増やす論文を見つけたことでした。

飼育に成功「高級ザリガニ」その秘密とは

シナイモツゴ郷の会 高橋清孝理事長:
「こちらは淡水で飼育していて、こちらは海水です。50%~75%の海水で4日間飼育すると、遊離アミノ酸が増えてとてもおいしくなる。普通のザリガニと比べると格段においしい高級ザリガニになる」

高橋さんが飼育に成功したのが通常と比べてうま味が増したザリガニ、その名も『高級ザリガニ』です。本来、淡水で生活するアメリカザリガニを海水の50%~75%濃度の汽水で4日間飼育すると、遊離アミノ酸が増えおいしくなるということです。

シナイモツゴ郷の会 高橋清孝理事長:
「食文化の壁があり、地域の人に食べてもらおうと思っても、なかなかすぐには食べてもらえないというのがあって。品質を向上させて食べてもらおうということに」

では、気になるその味は…。

後藤舜キャスター:
「高級ザリガニいただきます。ものすごく甘みが増している、あと身が引き締まってプリっとしている感じも強い、おいしいです」

「高級ザリガニ」を販売!

8月24日、鹿島台駅前で開催されたマルシェ。この日、会場の一角に高橋さんらシナイモツゴ郷の会も出店し、アメリカザリガニを販売しました。

シナイモツゴ郷の会 高橋清孝理事長:
「楽しみですね。できるだけ多く買ってもらえればなと」

用意したのは、高級ザリガニのボイルやから揚げ、ザリガニのすり身をダンゴにした酸辣湯スープなどです。開始と同時に次々と客が訪れました。

客:
「2000円分買った。ゆでたのとから揚げと」
「60年以上前に、母の実家に来た時におじいさんがゆでて食べさせてくれた。それがすごくおいしかった。だから懐かしくて、新聞見たときに食べたいと思って心待ちにしていた」

ザリガニ料理が珍しく立ち止まる人たちも数多く…。子どもから大人まで多くの人が初めてのザリガニ料理を味わいました。

客:
「あ!(味は)エビ!堀にいるあのザリガニのイメージが変わって食料として美味しく食べられるなと。どんどん積極的に家庭の食事にも取り入れていきたい」
「初めて食べる。美味しく食べることによって外来種が減るのであれば、すごく生態系や環境面でも解決につながるしいいなと思う」

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