警視庁が火災現場で押収した、ガスパン遊びに使われたライターの詰め替え用ガスボンベ=小岩署で
◆前日昼ごろからボンベ40~50本吸引
逮捕容疑では4月5日午後5時15分ごろ、同区のアパート1階居室で、ライター用ガスの詰め替えボンベでガスパン遊び中に、たばこを吸おうとしてライターに着火し、引火して爆発。居室約20平方メートルを全焼させたほか、2階の部屋の一部や隣接する住宅の壁などを焼いたとされる。会社員とアルバイトの1人が重いやけどを負い、もう1人は軽傷だった。 署によると、いずれも容疑を認め「ガスパン遊びを先輩から教わった。ふわっとした気分になり、気持ちが良くなるのでやった」と供述。ボンベは主に70ミリリットル入りで、前日昼ごろから40~50本ほど吸引したという。「窓を開けるとガスが逃げてしまうので、開けなかった」と話し、閉め切っていたという。 ◇ ◇◆酸欠や爆発、引火などで死傷者
ガスパン遊びで若者らは、ライター用やカセットコンロ用のガス、スプレーなどを吸引し陶酔感を得る。袋に入れたシンナーを吸う「アンパン」が名称の由来とされる。2000年代には吸引での酸欠や引火での爆発などで、中高生らが死傷するケースが全国で相次ぎ、問題化した。 東京都内では11年1月、男子高校生2人が爆発を起こして重傷を負い、警視庁がガス等漏出などの疑いで逮捕。同11月には男子中学生が酸欠死した。◆成長期には脳神経に深刻なダメージ
薬物の乱用に詳しい湘南医療大の舩田正彦教授(薬理学)は「吸引したガスは速やかに脳に移行し、陶酔感や幻覚症状を引き起こす。意識障害や酸欠死などの危険性もある」と強調。特に成長期には、発達中の脳神経が深刻なダメージを受けかねないという。 ガスについて「麻薬や覚醒剤、シンナーなどのように違法性や規制がなく、オーバードーズ(市販薬の過剰摂取)の薬より安価で入手しやすい。事例が表面化しないだけで、乱用されていてもおかしくない」と指摘。「健康被害や爆発の危険性を理解し、決して手を出さないことが重要」と警鐘を鳴らす。(小倉貞俊) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。