今年の夏は“異例の猛暑”。長引く暑さで農作物や酪農の現場で大きな影響が出ています。トマトが暑さで枯れ、キュウリは変形。乳牛も夏バテとなり、生産量が減少し、出荷制限する事態となっています。

猛暑に熱帯夜、農作物に影響

うだるような日差し。大分市では今年、猛暑日が32日と観測史上最多を更新するなど、県内各地で厳しい暑さが続いています。

池永農園・池永勝己さん:
「こちらがトマトの今の状況です、3分の1くらいが高温で枯れています。トマトやキュウリを40年にわたり作っているけど、定植したあと、暑さで枯れるのは初めての経験」

大分市で7600平方メートルのハウス栽培を手がける池永農園。遮熱シートや換気扇を増やしても、ハウスの中は35度に迫り、熱がこもり続けます。

池永さん:
「外が35度以上の猛暑が続くのと、あとは熱帯夜。そして日中はマルチをしているので中の土の温度が上がって根が張り切れない。どういう風にしていいのか判断が難しいところ」

大分市では7月19日から35日連続で熱帯夜。去年は7月から8月にかけて32日でしたが、今年はすでに40日を超えています。

暑さが和らぐ時間もなく、キュウリも細く曲がるように。味は変わらないため、変形したものは、まとめて特売価格で直売所に出すなど工夫しています。

池永さん:
「値上がりしますけど、農家も大変苦労しています。安心安全でおいしいのを作るため頑張っていますので、消費者の人もちょっと高いですけど、本物の味のトマトを含め農産物を買ってもらいたいと思います」

乳が絞れない…乳牛が夏バテ

乳牛150頭を飼育する大分市の首藤牧場です。

渡辺記者:
「こちらの牧場では暑さ対策はしているものの、牛たちは息が上がり、疲れ気味のようです」

乳牛は暑さに弱く、例年生乳の生産量は減る時期ですが、今年はさらに1割減少。7月上旬こそ1日に4000リットル搾乳できましたが、猛暑で3000リットルにとどまっています。

首藤牧場 首藤祐作さん:
「7月の頭から37度とかそういう次元なので、もうそのときに牛が一気にバテましたね。体力を維持するのに限界がくるので、その分を乳が絞れない感じですね」

この夏から高品質なえさに変えたことで、牛の体力は維持できていますが、近年の飼料高騰もあり、えさ代は5年で2倍近くになったといいます。

首藤さん:
「もうコストはかかっちゃうんですけど、どうしても大切なのは命ですし、このあと夏を乗り越えて、また仕事してもらわないといけないから、そのときを見据えて今は投資をするような形です」

生乳量の低下から九州乳業は、8月12日から主力商品の「成分無調整牛乳」の出荷数を1割ほど減らしています。

九州乳業担当者:
「生乳そのものは長く保存することできませんので、生産量が減ると出荷制限せざるを得ない。なるべく広く浅くという形で大変申し訳ないんですが当分お願いするような形です」

気象庁が発表した1か月予報でも高温は続く見込みで、野菜や動物にとっても厳しい暑さとの戦いは続きそうです。

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