2024年4月1日時点の人口が99万9476人と、100万人を割り込んだ富山…。それから3か月後、7月1日時点でも99万7948人と減り続けています。中でも若い女性の流出が止まらず、大きな課題となっています。富山を出た女性たちの本音を聞きました。

(2023年11月時点の取材をもとに情報を追加して再構成しました)

富山大学の前で女子学生に聞いてみました。

記者: 将来は富山に残りますか?

女子大生:県外です

記者:富山で就職しようと思わなかった?

女子大生:一瞬考えましたけど、(石川のほうが)働くうえで便利かなと思って。

記者:富山に残って就職って考えませんでした?

女子大生:考えませんでした。大学のためだけに富山に来てたので

女子大生:(富山に)残ります。富山で就職もう決まってて内定しています。

記者:友達とかは県外出る人多いですか?

女子大生:どっちかというと県外に出る人のほうが多いですかね。自分にあった就職先を探すってなった時に選択肢多い東京の方に行く子が多いかなと思います。

一年で1万人減、ついに人口100万人割れ

富山県人口移動調査によれば、2024年7月1日現在の人口は99万7948人。1年前と比べおよそ1万人減りました。

※2023年10月取材時のデータ

去年からカウントダウン状態となっていた人口減少が2024年春、ついに100万人を割り、特に深刻とされたのが、“若い女性の流出”です。実際に、県外に出た女性に話を聞いてみました。

中村彩乃さん(27):私みたいにおしゃれを楽しみたいとか、おしゃれの場所に行きたいとか好奇心が強い女性は県外に出やすいのかなと思います。

富山はすごく好きな場所なので、人が出ていっちゃうと過疎化につながるのであんまりよくはないかなとは思います…。

中村彩乃さんは富山出身で、富山大学を卒業後、東京で就職しました。現在は都内で美容サロンの店長を務めています。富山県を出た理由について聞いてみると…。

中村彩乃さん:私は大学生まで地元(富山)にいたんですけど、就活をするタイミングになったら、美容だとかアパレルとか、そういった関連のお仕事に就きたかった思いになったんです。

やっぱり富山だと、そういった会社が数少なくて、色んな会社から自分の行きたいところを探すっていうことになる、と東京のほうがいいなと…。

若い女性の転出超過は男性の9倍にも…

これは2022年の富山県内における人口移動を示すグラフです。

20歳から24歳の女性を見ると、転出者が転入者を上回り478人が県外へ流出しています。

若者世代と言われる15歳から34歳で見ると男女とも転出超過、特に女性は913人で、男性の102人に比べほぼ9倍です。

県外に出た別の27歳の女性は富山の娯楽の少なさを問題にあげます。

27歳女性:仕事も東京のほうが多いのは(理由として)あると思うのですけど、娯楽が少ないっていうのもあって…。中学校のときも高校のときも遊びに行く場所が同じで、飽きてしまってこれを社会人になってもずっと同じところで遊ぶのもちょっとつまらなすぎるなと…。

この女性は県内の専門学校を卒業し、都内のIT企業に勤めています。

27歳女性:私の友達だと富山から出たことがなくて、子どもがいる人はいますが、県外に一回出てしまうと戻ってきた人はいなくて…。

両親はもちろん『近くにいてくれたほうがうれしい』とは言っていますが、都会が好きな思いが強すぎて、もうあきらめている感じです。

若い女性の流出防止に何が必要か?

若い女性の県外への流出が止まらない富山…。

富山大学の中村真由美教授は、製造業中心の富山の産業構造が大きく関係していると話します。

富山大学経済学部 中村真由美教授:県内に女性が好むような就職先が少ないということが言えると思います。

一般に女性はサービス業で働く傾向があるんですけど、富山県は製造業がさかんということで、サービス業で働くような選択肢が限られていると女性たちが感じていることがひとつの要因かなと考えています。

富山県はこれまでにも経営者を対象としたセミナーを開催するなどして、女性の管理職比率の向上や働きやすい環境作りに向けて企業への働きかけを進めています。

企業の女性管理職と中高生の交流会も開催し、今後は、より若い世代への情報提供を強化したいとしています。

富山県女性活躍推進課長 山口康志さん:将来的に就職活動される時には、県内企業を選択肢としていただけるような取り組みを行っていきたいと思っております。

こういった仕事に就きたいというイメージは持っているんですけども、そのイメージの仕事が富山にないって思っておられるものですから、県内に活躍できる業種、職場がありますよと伝えていくのが大事かなと思っています。

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