9月27日の自民党総裁選挙に岸田総理が立候補せず、新たな総裁が誕生することを受けて、「解散総選挙」への機運も高まりつつあります。

シリーズでお伝えしている長野県内の各選挙区の現状。
今回は長野3区の状況をお伝えします。

これまでに自民党と立憲民主党の現職、それに共産党の新人が立候補を予定しています。


井出さん:
「昔に比べたら今ははるかにましなんだと、そういう考え方ではなくて、今の世代が希望する社会の慣習仕組みというものを作っていきたい」

自民党の現職・井出庸生(いでようせい)さん46歳。


自身の継続的な課題として男女間格差の解消や、冤罪を救済するための再審制度の改正に取り組むと訴えます。

井出さんは2012年に旧みんなの党から立候補し初当選。

その後も複数の野党で当選を重ねましたが、政策を実現するためにと2019年に自民党入りし、前回選では立憲民主党の神津健(こうづ・たけし)さんに1万票余りの差をつけて4回目の当選を果たしました。


井出さん:
「誰よりも地道にやってきたという思いがありますので、まずそのことをしっかりと有権者の皆さんに次回の選挙でもまずそのことを見ていただいて、その上で予算の拡充でいえばなんといっても教育、これに尽きる」

街頭での演説では、教員を増やすことや少人数学級の実現など、日本の未来への投資として教育予算の拡充が必要と訴えます。

また、総裁が変わることによる自身の選挙への影響はないと考えているとしながらも、党の政治資金の問題を受けて、政治家としての透明性が問われる厳しい戦いになると見ています。

井出さん:
「法律を守ってこなかったというところにもひとつの大きな原因があって、そういう政治家がいるってところは強い危機感もっていますし、一方で自民党の中にも透明性をもってまじめにやっている人たちもいますので、そういう人たちが主導権イニシアチブを発揮しなければならない」



神津さん:
「今の与党については金で動く政治を変えていこうという意思は私は全く見えていないと思っています」

立憲民主党の現職・神津健さん47歳。

この30年間、法人税が下がる一方で消費税が上がり、国民につけを回す「金で動く政治」が行われてきたと主張します。


神津さん:
「まずは国民の政治に対する信頼を取り戻さなければならないと思っています。金で動く政治を止めて行く。そして透明性を高める政治を行っていくための政治資金規正法の再改正をしっかりとやっていくべきだと思っています」

JICA=国際協力機構の企画調査員としてアフリカで17年働いていた神津さん。

故羽田孜(はたつとむ)元総理の甥にあたり、前回の選挙では野党統一候補として立候補。

井出さんに敗れたものの、比例復活で初当選しました。


街頭の演説では、食料とエネルギーの自給率の向上や、国民年金の水準を上げることによる物価高対策、大学までの教育費無償化などを訴えます。

神津さん:
「日本の政治を外から見ていると、30年後、50年後、どういった国の形を目指していくのか全く示さずに、場当たり的に政治が行われてしまっている。中長期的な課題をしっかりと示して、そこにかかる政策というものをやっていくべき」

今回の岸田総理の対応については、これまで総理が変わることで支持率が急回復することがあったが、国民の生活は変化がなく、自民党の代わりとなる勢力をつくるために力を尽くすとしています。

その上で、「野党共闘の枠組みがどうなろうとも自分は自分として戦う」と話しています。



渡辺さん:
「今の政治はどこを向いて取り組もうとしているのか、しっかり見て行く必要があるのではないか。間違えていたら間違ったと言って戦わなければいけません」

2023年6月に立候補を表明した共産党の新人、渡辺正博(わたなべまさひろ)さん73歳。

現政権の安全保障戦略は専守防衛の原則を逸脱するとし、憲法の理念を守っていかなければならないと主張します。


渡辺さん:
「戦争に巻き込まれるのではないかという不安は、小さいお子さんを持っている皆さんの率直な声です。日本国憲法は世界に際立って優れた憲法だと思っています。ですから基本は憲法の一語も変えてはならない」

上田市議を6期20年務め、現在は共産党の上小更埴地区の委員長を務める渡辺さん。


街頭での演説では、中小企業への支援による地域経済の循環や、安全保障として食料自給率の向上に取り組むべきなどと訴えます。

自民党の総裁選に関しては、候補に上がっている中で、これまでと異なる政策を示す人はいないとした上で、自民党は政権を担う能力を失っており、政権交代のチャンスとしています。

その上で、政治資金の問題など、ゆがんだ政治を正さなければならないと主張します。

渡辺さん:
「真相を明らかにしない、誰がこんなこと考えて、誰が始めたのか、いつから始めたのか、貯まった裏金は何に使ったのかということが、一切明らかになっていない。これは、このまま許しておくわけにはいかない」

選挙戦については野党共闘が重要としながらも、1人でも多く、党への支持を集めたいとしています。

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