上司の男性警察官から会食時に突然人差し指をくわえられるなどした女性警察官が、セクシュアル・ハラスメントで精神的損害を被ったとして、上司や大阪府に賠償を求めていた裁判。

 大阪地裁は、一連の上司の言動をセクハラと認定し、上司と大阪府に賠償を命じました。大阪府は判決を不服として、8月23日に控訴しました。

会食で退店の際…上司が『突然人差し指をくわえる』約3カ月後に“梅田に行ったら指くわえてしまうからな”の発言

判決によりますと、原告である大阪府警の女性警察官は2020年3月、大阪市北区の飲食店での会食時に、上司の男性警察官から『人差し指をくわえられる被害』を受けました。

当時、原告を含め警察官7人での会食で、原告が幹事として会費を徴収し、会計が済んで一行が退店する際、上司の男性警察官は突然、原告の人差し指をくわえたといいます。

さらに上司の男性警察官は同年6月ごろ、原告や他の警察官がいる部屋の中で、会食にも参加していた別の男性警察官との会話の中で、「梅田に行ったら指くわえてしまうからな」という旨の発言をしました。

女性警察官はセクハラだと訴え提訴 上司は“軽い冗談の気持ちだった”と反論

 原告の女性警察官は「男性警察官の言動はセクシュアル・ハラスメントにあたり、精神的損害を被った」として、上司と大阪府に対し計220万円の賠償を求めて提訴。

 一方で、上司の男性警察官側は「軽い冗談の気持ちから、人差し指を一瞬パクっとくわえたにとどまり、違法性は認められない」「『梅田に行ったら…』という趣旨のことを冗談で言ったのは認めるが、違法性は認められない」と反論。

 さらに、原告の提訴で精神的損害を被ったとして反訴までしていました。

「受け手に強い不快感や嫌悪感を与える行動」大阪地裁はセクハラと断定し賠償命令

大阪地裁(大森直哉裁判長)は8月9日の判決で、「異性の指を口にくわえるという行為は性的な行為を想起させ、受け手に強い不快感や嫌悪感を与える行動といえる。内心において軽い冗談だったとしても、客観的にセクハラ行為に該当し違法」と断定。

さらに「梅田に行ったら指くわえてしまうからな」という旨の発言についても、「前記の行為を男性同士の笑い話にすることで、女性である原告に改めて性的な不快感や嫌悪感を与える言動」として、セクハラと断じました。

そのうえで、指をくわえたセクハラは私的な会食の場での行為であったことから、上司本人の賠償責任を認定。一方で「梅田に行ったら…」の発言については、職場内かつ勤務時間中の発言だったことから、大阪府の賠償責任を認定。

上司の男性警察官に16万5000円、大阪府に5万5000円の賠償をそれぞれ命じました。

判決を不服として大阪府が控訴

大阪地裁によりますと、この判決を不服として、8月23日に大阪府が控訴したということです。

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