道路改良工事の入札に関する情報を提供する見返りに現金を受け取ったとして、加重収賄などの罪に問われている尾道市役所の元職員の男と、贈賄などの罪に問われている元建設会社社長の初公判が23日、広島地裁で開かれました。

起訴状によりますと、元尾道市建設部土木課の専門員、高橋宏和被告(52)は去年、当時建設会社の社長だった大崎一義被告(58)に、道路改良工事の入札に関する金額入りの設計書を渡し、それを元に大崎被告が工事を落札。その見返りに大崎被告が高橋被告に2度、現金3万円を渡したとされています。

23日の初公判で2人は、起訴内容を認めました。

検察側は冒頭陳述で「以前から情報を教えることを繰り返していた」と指摘。そのうえで大崎被告の会社が2件の工事を最低制限価格から、それぞれ5000円差と2000円差という僅差で入札し、落札していたとしました。

被告人質問で高橋被告は動機について、「手抜き工事をせず、町内会長など地域との関係が良好な地元の優良企業が入札してくれると、自分の仕事が楽になる。対価が欲しかったわけではない」と述べました。

一方、「『仕事がうまくいくのであれば、入札価格を教えても良い』と上司から言われたことがあった」とも明らかにし、「自分だけでなく、尾道市の組織として問題がある。もっと綺麗に、クリーンに尾道市はなったほうが良い。自身の行いについては反省している」などと述べました。

また、大崎被告は「売上の6割を占める公共工事の数が少なくなり、社の売上も少なくなっていた。10人いる従業員の雇用を守るためなら、という気持ちがあった。意志の弱さが原因で反省している」などと述べました。

検察側は論告で、「尾道市職員と事業者との癒着の下で繰り返し行われていた悪質な犯行」として、高橋被告に懲役2年6ヶ月と追徴金6万円、大崎被告に懲役1年6ヶ月を求刑しました。

一方、弁護側は、高橋被告は尾道市を懲戒免職になり、大崎被告の会社も営業停止命令を受ける見込みがあるなどし、「十分に反省し、社会的制裁を受けている」として、情状酌量を求めました。

裁判は即日結審し、判決は9月20日に言い渡されます。

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