台風10号は発達しながら北上へ 強い勢力で本州を直撃か

台風10号は、23日午前3時現在、マリアナ諸島付近にあってほとんど停滞しています。中心気圧は985hPa、中心付近の最大風速は30m/sで暴風域を伴っています。台風10号のアジア名は「サンサン」で、これは香港が提案した名称で「少女の名前」を意味しています。

気象庁進路予想(JMA)

台風10号は、このあと進路を北よりに変え、日本列島に向かってゆっくりと北上を始める予想です。徐々に発達して暴風域を伴うようになり、現時点の予想では27日(火)未明には日本の南海上を中心とする予報円に “強い勢力”で達する見込みで、中心気圧は950hPa、中心付近の最大風速は45m/s、最大瞬間風速は60m/sと予想されています。さらに28日(水)未明には本州上を中心とする予報円に達して日本列島に上陸する可能性が高まっています。

台風の進路予想図で示されている白い円の大きさは「予報円」で、台風の中心が到達すると予想される範囲を示しています。 予報した時刻に、この円内に台風の中心が入る確率は70%です。 円が大きくなっているからといって台風が大きくなることを意味するものではなく、予報のバラツキを表しています。

現時点での台風10号の5日先の予報円はとても大きく、東は関東から西は中国・四国地方が含まれています。まだ予報のブレ幅が大きいことを示しています。

ではアメリカやヨーロッパの海外予報機関の進路予想はどうなっているのでしょうか。

アメリカの予報機関 発達ピークで本州直撃を予想

アメリカ海軍進路予想(JTWC)

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

アメリカ海軍の進路予想では、傾向は気象庁と大きく変わりません。日本列島に向かって北上する予想で、28日(水)未明に紀伊半島を中心とする予報円に達する予想です。最大風速の予想をみると日本に最接近したときに勢力が最も強くなっています。

ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)

アメリカ海洋大気庁(NOAA)

台風の進路予報は「アンサンブル予報」という手法で行います。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。

アメリカ海洋大気庁のアンサンブル予報の結果をみると、まだブレ幅は大き以上きょうですが、近畿や東海地方を中心に関東から中国・四国地方へと進む可能性を示唆する予想データとなっています。

ヨーロッパの予想モデル 多くのデータが日本直撃を示唆

ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)

ヨーロッパ中期予報センターのアンサンブル予報結果です。アメリカモデルと同じように多くのデータが西日本から東日本を直撃する可能性を示唆する結果となっています。まだブレ幅は非常に大きい予想です。

【画像で詳しく見る】台風10号は来週日本へ接近予想 28日(水)までの雨・風シミュレーション

非常に高い海水温で日本接近まで発達 進路のカギは高気圧の張り出し 

現在、台風はマリアナ諸島付近でほぼ停滞していますが、これは台風のまわりは高気圧の勢力内のため動きにくい状況となっているためです。

ただ次第に高気圧の日本付近への張り出しは幾分弱まって、勢力は東へと後退していく予想です。そうなると高気圧の縁の沿って北へと向かうようになります。時速15~20キロ程度と比較的ゆっくりした速度で北上する予想です。

台風の進路を決める一つの大きなカギはこの高気圧の勢力にあるといえそうです。

台風が北上を始めると海水温度が非常に高いエリアを進むと見られます。現在、西日本の周辺海域は日本海も含めて沿岸部まで海水温が30℃前後と非常に高くなっています。海水温だけをみれば、仮に台風がこの海水温が高いエリアを進んでくれば日本に接近するまで発達を続けやすい状態です。

気象庁の別モデルによる雨・風シミュレーション 紀伊半島に直撃予想

台風進路予想モデルとは異なりますが、日々の天気予報で使われる気象庁の別の数値予報モデルでは、台風10号は紀伊半島付近から北陸へと進む結果を示しています。

【画像で詳しく見る】台風10号は来週日本へ接近予想 28日(水)までの雨・風シミュレーション

気象庁の進路予想やアメリカ・ヨーロッパなど海外モデルの予想をみると、まだブレ幅は大きな段階ですが、来週は台風10号が強い勢力で日本列島を直撃する可能性は高まっているといえます。このため台風の大きな影響を受けるおそれも高まっていますので、今後の台風情報に十分注意してください。

※正式な台風に関する予報については気象庁が発表する情報を確認してください。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。