島根・大社高校が93年ぶりのベスト8進出を果たし、全国の感動を呼んだ甲子園もいよいよ決勝戦を迎えます。
その高校野球には今、変化が起こっています。それは「低反発バット」の導入。打球が飛びにくくなりホームランも減りますが、そのため、練習方法にも変化が現れているようです。

93年ぶりのベスト8進出、この夏の甲子園、島根・大社高校は、一致団結の全員野球で全国の感動を呼びました。

特に好ゲームが多い今年の甲子園ですが、高校野球に今、ある変化が起きています。

鳥取県米子市の米子東高校野球部の練習を訪ねました。

米子東高校 硬式野球部 村上隆之助 選手
「新基準のバットになってからは、芯が外れたときの打球の飛距離が飛ばないなっていうのを感じます」

実は今年の春のセンバツ大会から、使用するバットの基準が変わり、金属製の「低反発バット」に移行されたのです。

「低反発バット」とはどのようなものなのでしょうか。

新基準では、最大径を3ミリ細くし、打球部を1ミリ厚くしています。
ボールが当たってバットがへこみ、それが元に戻ろうとする力ではじき返す、いわゆるトランポリン効果を抑制する作りになり、これまでよりも打ったボールが遠くまで飛びにくくなっているのです。

これにより甲子園でのホームランの数は激減。去年は23本だったのに対し、今年は決勝戦1試合を残し、7本しか出ていません。

米子東高校 硬式野球部 角井統馬 選手
「外野オーバーかなとか、ホームランかなって思った打球が、フェンス手前で失速したりっていうのがあります」

なぜ、「飛ばないバット」に変更されたのでしょうか。

近年、高校野球でも選手のパワーが向上し、打球速度が上がったことによる野手の怪我の防止。また、打撃戦が増えれば投手の負担が大きくなることなどから、新基準バットへの移行が検討されてきました。

米子東高校 硬式野球部 紙本庸由 監督
「間違いなくピッチャー返しの強さですとか球数に影響があると思うので、そういう点ではプラスかなと思います」

米子東高校 硬式野球部 市川誠長 投手
「芯を外しても、旧基準だったときはヒットになる確率は高かったんですけど、低反発になって芯を外したら大体打ち取れるっていうのがあるので、結構アバウトに配球できるようになったかなと思います」

新基準バットに対応するため、ふだんの練習面でも変化が出ていると言います。

米子東高校 硬式野球部 紙本庸由 監督
「例年以上に外野手が前を守ることになるので、外野の後ろのスペースが広く空くので、そこのフライの練習も多めにやってきました」
「ウェイトトレーニングの頻度も少しずつ増やしながら、体重を例年以上に増やしてやってきました」

米子東高校 硬式野球部 村上隆之助 選手
「パワーで持っていくのではなくて、しっかりボールの芯に当てるっていうところをもっと強化して、さらに活躍したいと思います」

一発逆転を狙える長打やホームランばかりではなく、送りバントや盗塁など小技や機動力を絡めた「スモールベースボール」が勝利へのカギになるかもしれません。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。