電話番号を調べるのに便利な「ふれあい案内」はどうなるのか―。視覚障害者らの間に不安が広がる。NTTの電話番号有料案内と同じ「104」でつながり、名前や施設を告げると番号を無料で知らせるサービスで、「基」となる104は2025年度いっぱいで終わる。NTT側はサービスを継続し、提供時間帯を見直す予定。障害者らは「不便になるのでは」と気をもむ。(中村真暁)

◆相手先を告げれば案内 登録者18万人

 「サービス見直しが提供時間の短縮や、将来的な廃止につながらないか」。東京都世田谷区のはりマッサージ師鷹林茂男さん(71)が心配する。役所や飲食店への問い合わせ、外出先の情報収集などに案内を役立ててきた。スマートフォンを持つが音声入力などに慣れておらず、手軽には検索できない。

ふれあい案内を利用する鷹林茂男さん=東京都世田谷区で

 NTT東日本によると、ふれあい案内は1990年に始まった障害者向けサービス。事前に障害者手帳のコピーと共に登録した人が104に電話し、登録番号とパスワードを伝えると、知りたい電話番号を24時間365日、無料で案内する。昨年3月末の登録者は全国で約18万人という。

◆サービス継続、提供時間は見直しか

 インターネットの普及などで、23年度の利用は10年前と比べ8割減の30万件。26年3月の104終了後はフリーダイヤルでの運用を検討している。NTT東は取材に「ふれあい案内終了の予定はない。利用実態に合わせた提供時間を検討している」と説明した。  時間短縮の懸念はぬぐえない。視覚障害がある豊島区の50代男性は「スタッフと会話できるふれあい案内は、情報を得る上で大切。時間を見直すなら、仕事で日中は忙しい人も利用しやすいよう、朝や夜にも運用を続けてほしい」と話す。  NTT東は詳細が決まれば登録者に通知し、ホームページでの公表を検討しているという。豊島区の男性は「スマホの音声入力では正しく認識されないことがあるし、読み上げ機能も知りたいことにたどり着くまで時間がかかる」といい、ふれあい案内のサービス低下がないことを願う。

 NTTのサービス NTT東日本とNTT西日本は電話番号案内「104」と、店や企業の情報を載せた電話帳「タウンページ」の紙の冊子を2026年3月に、電話で気象庁の天気予報が聞ける「177」を25年3月末に終了すると発表した。いずれもスマートフォンやインターネットの普及で情報を得る手段が多様化し、利用者が減った。177の起源となる天気予報サービスは1955年開始。タウンページの起源は1890年に発行された国内初の電話帳「電話加入者人名表」で、104の源流となる事業も同年に始まった。個人の電話番号や住所を掲載した五十音順の電話帳「ハローページ」の発行は2023年に終えた。電報についてNTTの島田明(しまだ・あきら)社長は「どこかのタイミングで終了させていく方向で、法的な話を進めるべきだ」と述べた。



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