お盆を過ぎて、信州特産のモモ「川中島白桃」が最盛期を迎えています。
台風被害から回復し、今年は豊作という川中島白桃の魅力と農家の思いを取材しました。


宮入キャスター:
「川中島の共選所です。この時期は川中島白桃が最盛期を迎えています。続々と市内から持ち込まれています」

その数、コンテナでおよそ3000箱。

長野市内の川中島や松代で、この日の朝とれたおよそ30トンの「川中島白桃」です。


JAグリーン長野の共選所に集められた「川中島白桃」は、等級ごとに選別。

機械で大きさや糖度を測りながら、最後は傷がないか人の目でチェックし、東京や大阪などに出荷されます。

今年は気温が高いため、生育は平年より早めということですが、近年目立っていた霜による影響は少ないと言います。

出荷開始の報告会では。

JAグリーン長野もも部会副部会長・杉山一男(すぎやまかずお)さん:
「量もあって、今年は豊作の年と私たち生産者としても喜んでおります」
「おいしいモモに仕上がったと思っております」
「消費者の皆様にたくさん食べていただきたいと思います」

杉山さんの畑で宮入キャスター:
「おお、なってますね。木の下を通ると甘い香りしますねやっぱり。うわーたわわに実ってます。どれも大きいですね」
杉山さん:
「寒暖差によっても色着くんですよ。だから今年はけっこう色着いてます」
「甘いです」

JAもも部会・副部会長の杉山一男さん73歳は、およそ30アールの畑で30年以上、モモを育てています。

杉山さん:
「川中島白桃です」
「実がしっかりしとってカタイモモ好きな人は、かたくても甘いし」

カタイモモ。

信州人がモモの話を始めると、必ず出てくるこの言葉。

お盆の直売所にいたケンミンに話を聞くと。

親子連れ:
「かたいのかやわらかいのか、どっちが好きですかみたいなってよく言われますよね」
女性:
「カタイモモが好きで」
女性:
「甘いのにシャキシャキしてるところが好きです」


モモといえば、とろけるような食感が魅力の一つですが、パリッとした歯ごたえを好む信州人も少なくありません。

女性:
「かたいももは、それこそ長野に結婚してから来て、皮つきのモモにハマりましたね」

男性:
「かたくても甘くておいしいっていうのがあるのを知って」
「凍らしてもおいしいんで」

女性:
「木になってるのをガブっと食べたいくらい。かりっとしたのが好きなんですけどね」

そんなカタイモモ好きの信州人に聞いてみました。

宮入キャスター:
「カタイモモ、カタイモモっていうんですが、あれなんですか?」
親子連れ:
「なんでだろう、なんでだろう」
「種類?」
「種類じゃないですみんな最初はカタイんです」

最初はみんなカタイ?

モモ農家の杉山さんも。

杉山さん:
「かたいモモと普通のやわらかいモモは一緒の同じモモなんだけども」

一緒の同じモモ?

杉山さん:
「ただとった時点は流通の関係があるからちょっと早めにとって」

直売所の店長さんも。

JAながのあもり直売所店長 高木正弘(たかぎまさひろ)さん:
「やはり産地が近いという形で鮮度よく食べられるので」

フルーツの中でもとりわけ傷つきやすく、熟しやすいモモ。

収穫は遠方への出荷を見越して行われるため、特に産地のとれたては食感がパリッとしています。

宮入キャスター:
「かたいモモが味わえるっていうのは産地ならではですか?」
杉山さん:
「そうでしょうね」

気になる甘さは。

杉山さん:
「とった時点で共選所でも糖度計はかってやってるから、それは(甘さは)大丈夫ですね」
「13度以上あって、高いのは15度とか16度ぐらい」
「やわらかいモモが好きな人は置いとけばやわらかくなってまたおいしいと」
「(川中島白桃は)いろんな人に食べていただけるかなって思っておりますけどもね」

60年以上前、品種改良中に偶然見つかった大玉で食感の良いモモは、1977年に「川中島白桃」と命名され、ほどよいかたさで日持ちがよく、全国に流通しました。

以来、かたいモモ派もやわらかいモモ派も魅了し、「モモの王様」と称されるほど人気の品種です。


杉山さん:
「ここでできたモモですから、伝統守っていかんといかんし、川中島ってついてるモモについては、おいしいモモだって言われるように作っていかなくちゃいけないっていうそういうのはありますね」

特産のモモを守るのはおよそ800人の農家。

災害とも向き合ってきました。

JAグリーン長野・常務理事 安藤猛(あんどうたけし)さん:
「台風19号、令和元年もう大変な状況で、約20ヘクタール、河川敷が全部流されまして」
「(生産量は)激減ですね」

2019年の台風19号災害。

河川の氾濫により、農業は大打撃を受けました。

収穫の時期を迎えたリンゴが濁流にのみこまれ、深刻な被害に。

JAグリーン長野の管内では、モモの木も畑ごと流されるなど、大きなダメージを受けました。

JAグリーン長野・常務理事 安藤猛さん:
「もう一度復興させようという生産者と、青年部が片づけをみんなでやって、新しいものを1800から2000本植えました」

こうした取り組みが文字通り実を結び、被災後の2020年には1380トン余りと大きく落ち込んだモモの出荷量は徐々に回復。

今シーズンの計画では、被災前にはまだ及ばないものの、2000トンに迫る出荷量を見込んでいます。

安藤さん:
「本当に苦労しました。約1年半から2年かかった」
「みんなで本当に復興ができたなってそんなふうに思います」

千曲川河川敷の畑では、被災後に植えたモモの木が立派に成長し、収穫の時を迎えていました。

安藤さん:
「台風19号はつらい面もたくさんありましたが、農家の皆さんには頭が下がります。がんばってくれました」

杉山さん:
「いろいろ乗り越えて収穫になるってことはうれしいですね」
「今年は本当おいしいです」
「量もありますからたくさん食べていただきたいと思います」

JAグリーン長野の川中島白桃の出荷は8月25日ごろまで続くということです。

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