連日、各地で体温を超えるような猛烈な暑さが続いています。一方で、この暑さは人々に「格差」という問題をもたらしています。
■「名古屋44度」?連日の体温超え“灼熱の日本列島”
東京43.3度、名古屋44.1度。これは、環境省が公開した「2100年未来の天気予報」。温暖化対策が不十分な場合の予想ですが、いまや現実味を帯びつつあります。
住民「皮膚がピリピリする暑さですね」
16日、岐阜県美濃市では、最高気温が40度に。
そして17日、名古屋では24日連続の猛暑日となり、観測史上最長を更新。台風一過の関東でも40度に迫る危険な暑さとなりました。
気象庁に記録が残る126年間で「最も暑い7月」となった先月に続き、今月も危険な暑さが続く日本列島。影響は各所で見られます。
■「コメがない」「スポーツできない」・・・酷暑の影響深刻化
今年夏の甲子園大会は気温が上がる時間帯を避け、一部日程で午前と夕方に分けて行う「2部制」を、初めて導入。
一方、昨年の猛暑の影響で品質が低下し、流通量が減ったお米は価格が高騰。
街録「2割ぐらいは高くなっている」
在庫が過去最少となるなど品薄になり、スーパーなどでは、「おひとり様1点まで」といった購入制限に踏み切るところまで出ました。
異例の暑さは、日本だけではありません。世界各地で記録的猛暑が続き、被害をもたらしています。
例えばギリシャのアテネ近郊では、相次いで山火事が発生。気温上昇や乾燥が、被害を深刻化させているといいます。
■“酷暑”に声を上げ始めた若者たち
「将来世代のために」
こうした中、アメリカのNPOが報告書で発表したのが、「酷暑格差」です。
報告書では、特に女性は育児や介護、家事など、長時間に渡って、酷暑の中、働く必要に迫られることも多く、大きな影響を受けると指摘しています。
さらに、「ジェンダー」に加え、酷暑は「世代間」にも格差をもたらしています。
8月6日、地球温暖化への危機感を募らせた全国の若者16人が、CO2の排出削減を求めて、火力発電事業者を提訴しました。
原告の一人、北海道に住む高校3年生の角谷さんは…
角谷樹環さん(18)「気温はすごく暑くて、雪の降る量も少なくなっている。学校が暑さで休みになるというのもそれまでなかった。すごい本当に変わってきている。自分のあとの世代、まだ生まれていない将来世代に対してできることをすべてやりたい」
実際、ユニセフの調査によると、「若者の5人に2人」が気候変動の影響により、将来に希望が持てないとして、「子どもを持つことを考え直した」と回答しています。
■「夏は動かない」酷暑のなか路上生活者は・・・
さらに、酷暑がもたらす「格差」は、ここにも…
東京・上野。夜の8時を回っても30℃以上ある暑さの中、路上生活の人たちに、支援団体が冷たい飲み物などを配ってまわります。
支援者「熱中症は大丈夫ですか」
猛暑から身を守るため、「噴水など風の通りが良い所や、図書館などで涼む」といった声が聞かれる一方、70代の男性に話を聞くと…
70代男性「冬は着ればいいけど、夏はどうにもならない、暑さだけは。できるだけ日陰にいること、あと動かないこと、体力消耗するから。図書館は気持ちのいいのは分かる、でも嫌がられるのも事実だよね」
深刻化する酷暑による格差。7月、東京23区内で熱中症の疑いで死亡した人は123人に。大半は屋内で亡くなっています。
■“エネルギー貧困”をなくすための
方策は
8月13日には、東京・目黒区の住宅で、70代と40代の親子とみられる2人が死亡。15日にも多摩市の都営住宅で男女2人の遺体が見つかっていますが、いずれもエアコンを使用していませんでした。
冷暖房など、生活に必要なエネルギーを十分まかなえない“エネルギー貧困”について研究を続ける専門家は・・・
筑波大学・奥島真一郎教授「弱い立場にいる人が、対応ができないといった、より苦しい立場に追い込まれる。最低限、生活に必要な分のエネルギーサービスを、すべての人が満たせるように、将来世代を含めて、誰一人取り残されないような政策を包摂的な形で進めていく観点が、今後重要になってくる」
酷暑がもたらす被害は、ジェンダーや世代、あるいは貧富の差によって、より深刻さの度合いを増しています。
そうした中、状況を変えたいと行動を起こした若者からは…
角谷樹環さん「一刻も早くできることを全てやらないと、本当にこれ以上生きていけないという感じがする。そういう危機感を持っていない人も大人の中にはいると思う。出来れば対立じゃなくて一緒にできることを探したいなって-」
「サンデーモーニング」2024年8月18日放送より)
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