2024年春、鳥取県消防学校には25人の消防士の卵たちが入校しました。
徐々に訓練も本格化していますが、訓練生にとっては初めての連続。
困難を乗り越え成長する彼らの姿を追いました。

6月はじめの鳥取県消防学校。
入校から2か月、徐々に訓練内容も本格化する中、この日行われていたのは、火災現場では欠かせない空気呼吸器を使った訓練です。

訓練生が背負っているボンベの中に空気が入っていて、「面体」と呼ばれる顔を覆うマスクから空気が出て呼吸することができます。

鳥取県消防学校 山本孝幸教官
「建物火災、屋内に煙が充満しているところで装備して出るんですけど、火災だけでなく酸欠事故、ガスが滞留しているような現場、特殊災害、そういった現場にも呼吸器を着装して出動します」

防火衣やボンベなど、フル装備で重さはおよそ20キロ。
その状態で救助活動ができるよう、十分な体力を培わなければなりません。

空気呼吸器に慣れた後は、実践訓練。その内容というのが…

「準備いいですか?」
「準備よーし」
「じゃあ5名入ります」

扉のすき間から漏れ出す、白い煙。
訓練生たちはタオルで鼻や口を覆い、煙が立ち込める建物の中へと入っていきます。

建物の1階部分で枯草や木材などを実際に燃やし、2階部分に大量の煙を充満させているのです。

「こっちだぞ、左伝いで出て来いよ、ロープは離すな、こっちだぞ」

訓練生は
「奥の方入っていくと真っ暗で、何も見えませんでした」
「布一枚ハンカチ一枚だと、どうしても煙の臭い、空気を吸ってしまうのでしんどいです」

次は、空気呼吸器を着装。
訓練生たち、同じように煙が充満した部屋に入ります。

「実際面体つけて入っていくよ。残圧知らせ、前から」
「入江26メガです」
「植月28です」

実際の火災現場さながらの訓練。
活動場所や活動環境によっても異なりますが、空気呼吸器を使用すると15分間程度の活動が可能だといいます。

ただ、空気の消費量は人によって異なるため、活動中は常に残圧を確認することで自分はあとどれぐらい活動できるのか確認するクセをつけています。

「きょうは活動時間10分で設定する。面体着装!」

建物内は目の前にいる仲間がみえないほど視界が悪く、訓練生は体をかがめながら壁にそって張ってあるロープを伝って慎重に前に進みます。

鳥取県消防学校 山本孝幸教官
「防火衣の着装、呼吸器の着装があいまいになってしまう。これでいいかというような感覚でやってしまうと、自分の命を危険にさらしてしまう。一緒に入った仲間すらその危険にさらしてしまうということで、今回の煙の中での経験がいかに自分の個人装備が重要か学んでほしい」

一人前の消防士をめざして、彼らの厳しい訓練の日々は続きます。

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