大学教授として働く傍ら「あるスポーツ」の競技者でもある二刀流の男性が仙台にいます。7月に行われた全日本選手権で日本新記録を出して優勝。日本代表として世界大会への出場が決まっている男性のすごさに迫りました。

貧血の新たな治療薬の開発に貢献

仙台市青葉区の東北大学大学院で、酸素医学分野の研究を行っている鈴木教郎教授(49)です。

東北大学大学院医学系研究科 鈴木教郎教授:
「酸素を運ぶ赤血球に注目した研究を行っている。酸素と私たちの体の関係を理解することで病気の解明や新しい治療法の開発に役立つ研究を進めている」

鈴木教授の研究グループは、2013年に心不全などの合併症を引き起こす恐れのある「腎性貧血」を発症したマウスを作り出すことに世界で初めて成功しました。このマウスは、貧血の新たな治療薬の開発に活用されました。

研究室の学生:
「いろいろな知識を持っていて、私が困った時もいろいろな角度から解決策を教えてくれたりとても頼りにしている」

そんな鈴木教授にはもうひとつの顔が。

“もう一つの顔”はパワーリフティング

この日、鈴木教授の姿は、トレーニング室にありました。

パワーリフティングの競技者としての顔です。鈴木教授は、大学入学後に筋トレを始めパワーリフティング部に入りました。

しかし、卒業後は研究者を目指すため学業に専念する必要があり、20年以上筋トレから離れていたといいます。

そうしたなか転機は7年前に訪れました。

20年ぶりに競技再開したワケ

研究に専念していた鈴木教授が、再びトレーニングを始めた理由があります。

東北大学大学院医学系研究科 鈴木教郎教授:
「たまたま家の近くに新しくジムが出来たということもあり、ちょっと行ってみようかなと。その時は競技に出ようとは思っておらず、少し体を動かしてみようというのがきっかけだった」

バーベルを握った瞬間「ある感情」が芽生えたといいます。

東北大学大学院医学系研究科 鈴木教郎教授:
「バーベルを握った瞬間に誰かと競いたい、大会に出て記録を認められたいという気持ちがふつふつと沸いてきて、すぐ次の大会にエントリーしていた」

トレーニングを再開して数か月で大会に出場。そこからめきめきと成長した鈴木教授は7月、快挙を成し遂げました。

マスターズ66キロ級で快挙

鈴木教授は、7月に長崎県で行われた「全日本マスターズパワーリフティング選手権大会」に出場すると、マスターズ66キロ級で見事優勝。日本代表として世界大会への出場権を獲得したのです。

東北大学大学院医学系研究科 鈴木教郎教授:
「重量的には普段のトレーニングでも挙がるのではないかという重量だったので、すごく嬉しいというよりはホッとした」

パワーリフティング競技は、バーベルを担いでしゃがみ、立ち上がる「スクワット」。寝た姿勢でバーベルを下ろしてから押しあげる「ベンチプレス」。バーベルを直立姿勢まで引きあげる「デッドリフト」。この3種目の総重量を競います。鈴木教授はなんと、535.5キロで日本新記録を樹立しました。

学生たちもビックリの胸板

鈴木教授は現在、東北大学のボディビル部の顧問を務めていて、学生からもその背中を追われる存在です。

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