沖縄付近で熱帯低気圧が発生 台風になる可能性は?

17日正午に発表された天気図で、沖縄付近で解析されていた低気圧が「熱帯低気圧」となりました。このあと台風へと発達する可能性はあるのでしょうか?

非常に強い勢力で台風7号は関東地方のすぐ東の海上を進んでいきましたが、8月前半は5、6、7、8号と立て続けに台風が発生しました。

気象庁が発表している18日9時、19日9時の予想天気図では、熱帯低気圧のまま沖縄周辺の海上をゆっくりと北上しています。

週間天気予報の資料では、東シナ海を北上して20日には朝鮮半島付近へと進む予想です。その後は温帯低気圧となって日本海へと進むとみられています。気象庁は台風へと発達するような見解は示していません。

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では海外の予報機関はどのような見解を示しているのでしょうか。予想データを見ていきましょう。

アメリカ海軍の監視対象に 海洋大気庁では東シナ海を北上予想

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

JTWCでは、監視対象の雲域が定めた基準以上に発達すると予想される場合に、LOW(黄)→MEDIUM(オレンジ)→HIGH(赤)へとレベル分けした形で情報を発表します。それぞれの色の意味は以下の通りですが、17日午後の時点で沖縄付近の熱帯低気圧について黄色い丸で表示しています。これはすぐにはJTWCが進路予想を発表するような基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低いことを表しています。

LOW(黄):監視対象ではあるが、今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低い
MEDIUM(オレンジ):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性も高まっているが、発達するには24時間以上かかる見込み
HIGH(赤):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する見込み

台風や熱帯低気圧の進路予報する手法の一つとして「アンサンブル予報」というものがあります。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。

沖縄付近の熱帯低気圧になると予想される雲域について、アメリカ海洋大気庁はアンサンブル予報の結果を発表しています。それによるとかなりのバラツキはありますが、東シナ海を北上する予想データが多くなっています。ただ中心気圧の予想をみる限り、それほど発達することはない見込みです。

アメリカ海洋大気庁では日本の南の海上にある雲域についての予想データも公表しています。こちらも特に発達させることはなくそのまま弱まりながら日本の南の海上を東へと進む見込みです。

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ヨーロッパモデルの長期予報 日本周辺で熱帯低気圧の発生は

ヨーロッパ中期予報センターでは、48時間以内に熱帯低気圧が300km以内に入る確率について、風速に応じて3つのカテゴリー(8m/s以上、17m/s以上、32m/s以上)に分けて発表しています。

ザックリとした目安で考えると風速17m/s以上のカテゴリーの確率が高くなれば台風が発生する可能性を示す目安となります。

20日9時の予想をデータを見てみると、風速8m/s以上の低気圧が近づく可能性を示すデータでは、日本周辺では確率がそれなりに高くはなっていますが、17m/s以上の確率をみると確率が高い場所はありません。熱帯低気圧は発生するものの発達して台風に発達するようなものが出てくる可能性は低いとの予想です。

23日9時の予想では風速8m/s以上の確率も低く、風速17m/s以上の可能性を示すデータもありません。8月前半は立て続けに台風が発生していましたが、8月後半は落ち着きそうです。

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8月前半に台風を連続発生させた「モンスーンジャイア」 後半はどうなる? 

ことしは台風の発生が平年に比べて少ない状況が続いていましたが、8月8日以降、4つの台風が立て続けに発生しました。

台風5号(8日午前3時)
台風6号(11日午後6時)
台風7号(13日午前3時)
台風8号(13日午後3時)

このうち台風5号は東北地方の太平洋側に上陸する異例のコースをとりました。こうした珍しいコースや立て続けに台風を発生させた一つの要因とみられるのがモンスーンジャイアです。

今月に入ってから日本の南海上では台風や熱帯低気圧が次々と発生しています。日本の南海上は気圧の低い低圧部となっているためです。この低圧部はモンスーンの南西よりの風と貿易風の東よりの風がぶつかることで相対的に気圧の谷となっており、そこから低気圧性の渦となって日本の南海上に存在しています。モンスーンジャイア(渦)と呼ばれるものです。

このモンスーンジャイア(渦)は、反時計回りの低気圧性循環となっていて、熱帯低気圧や台風がこの渦の南から南東側の縁で次々と発生することが知られています。8月前半の台風5号~8号が発生した大きな要因となったとみられます。

モンスーンジャイアの寿命は2週間程度とされ、現在は解消しつつあります、このあと5~8号が発生したのと同じような場所で次々と熱帯低気圧や台風が発生することはない見込みです。

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