西日本を中心に「猛暑日」が続いて体はヘトヘト…。夏バテ解消に、焼肉やうなぎ、辛いものをイメージしますが…その食事、本当に効果はあるんでしょうか。本当に効く夏バテ回復メニューを専門家に聞きました。

飲食店の情報サイト・ぐるなびが会員を対象に行った調査(2023年発表)では、夏場に体力を回復したいとき行きたい外食は、1位がうなぎ、僅差で2位が焼肉という結果に。続いてすし、そば・うどん、カレーと並んだほか、ステーキやとんかつ、韓国料理などの辛いものも人気となっています。

こうした、いわゆる夏バテ回復に人気の食品は、本当に回復効果があるのでしょうか。富山短期大学・食物栄養学科の伊藤陽子准教授に聞いてみました。(2023年取材)

富山短期大学・伊藤陽子准教授:
「うなぎも焼肉も、特に豚肉にはビタミンB1が多く含まれているので、疲労回復効果は高いと言われています。ただ、焼肉とかうなぎって油が多いですよね。疲れた身体には油が多いと消化に時間がかかって胃腸に負担がかかるので、あまりお勧めしない」

夏バテ回復メニューで人気トップを占めたうなぎと焼肉は、栄養素は豊富な一方、油の消化が負担になり、疲れているときにはあまり効果がないといいます。

夏に人気のメニューの“効果”は?

効果があるのは韓国料理やエスニック料理。辛味や酸味が胃酸の分泌を高め、食欲を回復してくれます。
カレーとすしは、脂っこいものではなく具だくさんのスープカレーやネギを散らした「ちらし寿司」などにすると〇に近づきます。
一方で、そばやうどんなどの炭水化物は回復効果がなく、ステーキや中華料理などは胃に負担がかかるということです。

では、一体何を食べればいいのか…。

疲労回復に効果が期待できるのは…

富山短期大学・伊藤陽子准教授:
「疲労回復効果が期待できる栄養素はビタミンB1、ビタミンC、クエン酸などがあります」

疲労回復を助ける第一の栄養素は、肉や魚に含まれるビタミンB1です。そして、かんきつ類などに多いビタミンCやクエン酸も体内で疲労物質が作られるのを抑える効果があります。

富山短期大学・伊藤陽子准教授:
「ビタミンB1の吸収を助ける働きがあるのがアリシンという栄養素で、アリシンはネギ類に多く含まれている。なのでネギ類、ニンニクとかネギとあわせてお肉、豚肉を食べるとさらに疲労回復効果が高まると思う」

伊藤さんが考える、食欲がないときも効率的に栄養がとれる、ベストな回復メニューは…

富山短期大学・伊藤陽子准教授:
「宮崎県の冷や汁って郷土料理があるんですけど、ちゃんと作ると大変なんですけど、“簡単冷や汁”がおすすめです」

冷たいみそ汁をごはんにかけていただく「簡単冷や汁」です。

作り方は、まずごはんの上に、サバ缶のサバと豆腐、薄切りにして軽く塩もみしたキュウリをのせます。冷たい水にみそをといて、最後にきざんだミョウガを散らして完成です。

舟本真理アナ:
「あっさりしているんですけど、サバ缶とみそのコクがある。キュウリとミョウガもしっかりアクセントになっています。本当に食欲のないときにぴったりだと思います」

大事なのは「量より質」!

夏バテ回復には「いっぱい食べて元気になる!」のではなく、少ない量でも必要な栄養素がとれる「量より質」の食事がおすすめだといいます。

富山短期大学・伊藤陽子准教授:
「ずっと続いてきた暑さで疲れが溜まってきているときには、一発逆転みたいなものよりも、日々の食事を大事にしながらしっかり栄養素をとっていくように心がけたほうがいいと思います」

冷や汁のほか、伊藤さんのおすすめメニューは、刺身にニンニクや長ネギ、そしてレモン汁やポン酢をかけたカルパッチョ風サラダです。これは、魚のビタミンB1がネギの「アリシン」で吸収が高まり、さらにビタミンCやクエン酸も入って最高の組み合わせだということです。
厳しい残暑が続く中、きょうの献立の参考にしてみては。

※この記事は2023年取材をもとに再構成しています。

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