これまで繰り返し発生してきた過去の地震。
宮崎県に被害をもたらしてきた地震の多くは、主に2つに分類することができます。

日向灘を震源とする「日向灘の地震」と、南海トラフ沿いで発生する「南海トラフ地震」です。


それぞれの特徴ですが、「日向灘の地震」はおよそ30年ごとに発生し、最大震度6強、津波の到達時間は最短でおよそ12分。

一方、「南海トラフ地震」は、およそ100年ごとに発生し、最大震度7、津波の到達時間は最短でおよそ14分と想定されています。

整理しますと、今月8日に発生した地震は「日向灘の地震」で、これが発生したことで「南海トラフ地震」が発生する可能性がふだんよりも高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報」が発表されているということになります。

これまでも繰り返し発生してきた「日向灘の地震」と「南海トラフ地震」。過去にどのような被害をもらたしてきたのかまとめました。

30年周期で発生「日向灘の地震」

今月8日に発生した日向灘を震源とする地震。

専門家は、この地震を日向灘でおよそ30年周期で発生しているマグニチュード7クラスの地震の1つと分析しています。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「30年に1度くらいのことが今起こっている。それくらい重大なことだというのを認識していただきたい」

「日向灘の地震」は、過去にも県内に被害をもたらしてきました。

1996年には10月に地震があった後、その2か月後に再び地震が発生。
いずれも宮崎市で震度5弱を観測しました。

また、1987年の地震では宮崎市で震度5を観測、1961年にも宮崎市、日南市、都城市で震度5を観測しました。

そして、さらに時代をさかのぼることおよそ360年前。
記録が残る日向灘の地震で、最も大きいとされているのが「外所(とんどころ)地震」です。

大きな揺れと大津波が外所村、現在の木花地区を襲い、一夜にして村は水没。
現在、宮崎県総合運動公園がある一帯は、大きな入り江と化してしまったそうです。

50年ごとに供養碑を建立 「外所地震」を語り継ぐ寺

宮崎市熊野にある西教寺。
この寺では、歴代の住職らによって、この震災が語り継がれています。

(西教寺 井上真哲住職)
「こちらが西教寺に伝わる系図になります」

現在14代目の井上住職。3代目まで系図をさかのぼると・・・

(西教寺 井上真哲住職)
「『大地震にて外所入海となる 今江の郷に移るなり』と書いてあります。地震とともに、おそらく液状化現象で沈んだのではなかろうかと言われてるのですが、今の運動公園辺りぐらいまで全部入り江になったというふうに古い地図などにも書いてあるので、もうちょっと離れたところということで、そちらの土地(今江)を殿様が準備してくださったんだろうと思います」

(記者)
「どんなふうに村が沈んでいったというふうに聞いていますか?」
(西教寺 井上真哲住職)
「ドスンと沈んだのではなく、時間をかけてゆっくりズブズブズブズブと沈んでいったらしく、ですので、結構、逃げ出す時間はあったというふうに聞いています」

「外所地震」の最大震度は6強以上と推定され、飫肥藩の家老が書いた「日向纂記」には、およそ250戸が海に沈んだと記されています。

その被害の大きさから、宮崎市熊野には、50年ごとに供養碑が建立されています。

(西教寺・井上真哲住職)
「未曾有の大被害を出したその地震を後世に伝えるべく、石碑を建てている。当たり前の生活が、いつ、当たり前でなくなってしまうかわからないということはありますので、そのことは十分に普段から心がけながら生活をしていく。そして、準備を怠らないということでしょうか」

日本書紀にも記録が 南海トラフ地震

一方、この「日向灘の地震」とは別にリスクが指摘されているのが「南海トラフ地震」です。

静岡県の駿河湾から、日向灘にかけてのプレートの境界で発生する大規模地震のことで、およそ100年から150年の間隔で発生しています。

防災システム研究所の山村武彦所長は・・・

(防災システム研究所 山村武彦所長)
「これは日本古来の、日本書紀という古い書物から、その当時から南海トラフ巨大地震が発生したという記録が残ってるぐらいに繰り返し起きる、周期性のある地震であり、もう一つは連動性のある地震、この2つが特徴」

山村所長は、南海トラフ地震の危険性について次のように話します。

(防災システム研究所 山村武彦所長)
「揺れ方は、阪神淡路大震災のような激しい揺れになる可能性がある。津波も発生する震源域が陸に近いために、津波が発生して、陸に到達する時間が非常に短いということになりますので、東日本大震災とは違った非常に激しい被害が出る可能性があるという認識で、大揺れから命を守る対策、そして、その後の大津波から命を守る対策、この2つがポイントになってくると思います」

悲観的に準備して、楽観的に暮らす

今回の地震により発表された南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」は、1週間以内に巨大地震が発生する確率が、通常時の0.1%から0.5%に上がったことを示すもの。

山村所長は、冷静に対応することが必要と呼びかけています。

(防災システム研究所 山村武彦所長)
「極度に恐れたり、パニックになったりする必要はないと思いますので、きちっと準備をして、悲観的に準備して、楽観的に暮らす。これが日本列島、災害列島に住む作法だと私は思います」

(スタジオ)
「日向灘の地震」、「南海トラフ地震」は繰り返し発生しており、揺れによる被害、津波による被害が出ているというのは事実です。
次が、いつ起こるかという予測は難しいですが、過去の経験から再び起きるというのは確実であるので、日ごろからの備えが大切です。

※MRTテレビ「Check!」8月14日(水)放送分から

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