能登半島地震での犠牲者を追悼し復興を祈願するキャンドルイベントが、14日夜、穴水町で開かれました。会場となったのは不思議な縁で「廃寺」となる運命から復活したお寺でした。

ボロボロの壁に雨漏りのする天井。
災害ボランティアの手によって清掃活動が行われているのは穴水町曽良で1300年続く真言宗の千手院です。

10年ほど前から管理が行き届かなくなり「廃寺」の危機にありました。

〇ボランティアの拠点として立て直しを

この千手院を立て直し、ボランティアの拠点にしようと立ち上がったのが、NPO法人チーム能登食いしん坊です。

NPO法人チーム能登喰いしん坊代表
森本敬一さん「震災を機会にいろんな人が来てボランティア活動されてるそうした中でどんどん(千手院が)蘇っているのを実感している」

能登半島地震がこの千手院に再び人を呼び戻したのです。
千手院では2009年から10年間、地域のお盆の祭りとして「曽良の盆灯」というキャンドルイベントが行われていました。

森本さんは、地震からの復興の灯にしようと、イベントの復活を企画したのです。

森本敬一さん「夜にたまたま通りかかった時にすごいきれいなイベントだったのでもう一回できればという思いと地域の人に復興の灯を体感していただきて皆一人でないことを実感してほしい」。

〇再建した寺の住職を同級生が引き受ける

14日夜、キャンドルやスカイランタンの準備がスタッフの手によって行われました。住職が不在だった本堂にはお経を読む声が響きます。

森本敬一さん
「新しく住職が見つかったのでその方といっしょにお寺を盛り上げていきたい」

森本さんの同級生で僧侶の北原蜜蓮さんが千手院の再生に共感し、住職を引き受けてくれることになりました。

千手院の住職になる北原蜜蓮さん
「皆さん(建築士)が倒れてもおかしくない状況なのに残ってますねと言っていて本当に観音様が残りたかったのでしょうねと同じこと言うので曽良にある千手観音を大事に地区に残していかなければならないと思っている」

〇地震を機に新たな地域の絆

住民
「こんな形でお寺と関わるとは思わなかったのでうれしい」
「今まで違った形の盆灯があったのでなつかしい」

NPO法人チーム能登喰いしん坊代表 森本敬一さん
「近所の方もちらほら顔をみられたので参加いただいたということは受け入れられたのかな」

一度は担い手を失った千手院。
地震を機に、いま新たな地域の絆が生まれようとしています。

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