子どもに多くみられ長引く咳が特徴の「マイコプラズマ肺炎」の患者が、約8年ぶりの水準で広がっています。“歩く肺炎”とも呼ばれる感染症。拡大の背景に何があるのでしょうか?

マイコプラズマ肺炎が全国で増加 約8年ぶりの高水準

南波雅俊キャスター:
全国で増加しているマイコプラズマ肺炎について見ていきたいと思います。

全国平均で1医療機関あたり0.95人です。0.95と聞くと非常に少ないように感じる人もいるかもしれませんが、そもそも流行期以外は非常に少なく、2023年の同じ時期と比べると、全国で約27倍に増えているということで、約8年ぶりの高水準です。

報告数が増加している都道府県を見ていきます。

大阪:3.89人
埼玉:2.67人
佐賀:2.5人
香川・沖縄:2人

東京都ではどうなのかというと、7月29日~8月4日までの1週間で1.48人となっています。2023年の同じ時期と比べて約37倍に増えています。

どんな症状や感染経路が?

南波キャスター:
マイコプラズマ肺炎とはどういうものなのかというと細菌の一種、マイコプラズマによる感染症で1年を通してかかる病気です。

主な感染経路は、飛沫感染や接触感染です。感染から発症まで2~3週間と潜伏期間が長く、症状も軽いので、出歩くことで人にうつすというのが特徴です。

症状は、痰の絡まない乾いた咳が1~2週間続いたり、37~38℃の発熱があります。

症状が悪化すると、激しい咳が数週間続くことがあります。患者の約8割は14歳以下の子どもですが、大人も感染する可能性があります。

防衛医科大学校病院の藤倉雄二医師は、「長く続く咳を放置すると、大人でも肺炎が重症化するケースもある。効果的な抗生物質があるので、早めに受診して治療を受けることが重要」と話しています。

ホラン千秋キャスター:
マイコプラズマ肺炎が8年ぶりの高水準で広がっているということですが、感染しやすい年と感染しづらい年で、なにか傾向はあるのでしょうか?

インターパーク倉持内科日本橋代表理事 倉持仁さん:
1980年代までは「4年ごとに流行る」と言われていましたが、その傾向が次第になくなってきていました。

コロナ禍ではほとんど流行はなかったですが、ここにきて急に増えているというのが現状です。今までの傾向とは少し違うということが言えると思います。

ホランキャスター:
かなりの広がりというのは、肌感覚でも感じる部分がありますか?

倉持さん:
診療現場では「マイコプラズマ肺炎が増えている」ということはまだ感じていませんでした。

しかし実際に自分の子どもが2か月前にマイコプラズマ肺炎になり1週間入院して、だいぶ痩せたりしたので、「感染が広がっている」ということを今日改めて感じたところもあります。

自分が診療する際も、新型コロナだけではなく、マイコプラズマ肺炎にも注意していかなければいけないと改めて思いました。

井上貴博キャスター:
基本的に子どもがかかることが多いと聞きますが、2023年の年末ぐらいから中国や韓国でも流行っているので、日本だけではなく、世界中である程度流行っているという認識でいいのでしょうか?

倉持さん:
はっきりとデータを知っているわけではないですが、散発的なニュースを聞くと、今までのコロナ禍を介して色々な感染症が流行っていなかった分、世界中で今までとは異なる感染・流行の仕方をしているということは言えると思います。

咳の特徴で疑われる病気とは?

南波キャスター:
咳で病気を見分けるポイントを見ていきます。当然、素人判断は危険なので専門医師の受診が必要です。

▼マイコプラズマ肺炎:痰の絡まない「乾いた咳」が特徴。
▼新型コロナ・季節性インフルエンザ:「痰が絡んだ咳」が特徴。
▼百日咳:「激しい咳をした後、息を吸う際『ヒュー』というような音がする」のが特徴。

乾いた咳が出ていたら、マイコプラズマ肺炎を疑って病院に行くというのも重要になってくるかもしれません。

ホラン千秋キャスター:
どういう症状が出ているのか適切に医師に伝えた方が早く答えにたどり着けるという部分があると考えると、しっかりと自分や子どもの症状を観察して医師に伝えるということは重要なことでしょうか?

倉持さん:
おっしゃる通り、いつから熱が出て、いつから咳がひどくて、いつから眠れなくなった。それから周りに誰かそういう人がいたなど、しっかりと病気の経過をまとめてメモして、受診の際に話していただけると、医師はそれを参考にきちんと検査などをして、病気を鑑別していくので、その情報元というのは非常に大事になってくると思います。

井上キャスター:
今、ニュースでもせき止め薬が不足していて、薬局でもなかなかもらえないと言われていますが、マイコプラズマ肺炎の抗菌薬に関してはどうなんですか?

倉持さん:
マイコプラズマ肺炎に効くマクロライド系やニューキノロン系という抗生物質は、幸いに今のところまだあります。しかし、それ以外の子どもたちに使うような抗生物質がなかったりしていますから、やはり早くそちらの方も改善していただきたいですね。

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<プロフィール>
倉持 仁さん

インターパーク倉持内科日本橋 代表理事
日本アレルギー学会専門医

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