日向灘を震源とし、日南市で震度6弱を観測した地震について分析を進めた専門家は、「日向灘に割れ残りの領域があり、今後もマグニチュード7程度の地震が発生する可能性が高い」として改めて、備えを呼びかけています。

今月8日に発生し日南市で震度6弱を観測した地震。


京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は、日向灘でおよそ30年周期で発生しているマグニチュード7クラスの地震の一つと分析しています。

その上で南海トラフ地震が誘発される可能性は低いとしながらも、1996年に2度にわたって起こった地震の事例から日向灘ではリスクが高まっている状態だと指摘します。

(京都大学防災研究所宮崎観測所・山下裕亮 助教)「このコンター(等高線)が引かれているのが前回の1996年の地震の時に断層が滑ったところなんです。次こっち10月と12月2つあるんですけど、12月は、おそらくこの余震の起こり方を考えると若干含まれている可能性はあるんですが、10月の方はほとんどきれいに残っているんですよ。」

割れ残り


山下助教によりますと、日向灘では1996年にマグニチュード7程度の地震が10月と12月に発生。

このうち、12月の震源域は今回の地震の震源と近い場所ですが、10月の震源域は含まれていないためエネルギーをため続けているおそれがあるということです。

(京都大学防災研究所宮崎観測所・山下裕亮 助教)「我々は割れ残りって言ったりするんですけど、つまり、今回このマグニチュード7.1の地震が起こりましたけど、さらにこの北から北東側ではエネルギーを貯め続けていて、地震が起こりやすい状態にあるとみています」


また、割れ残っているとされる震源域は今回よりも震源が浅いため、地震の規模が同じ程度の場合、津波がやや大きくなるおそれがあるといいます。


(京都大学防災研究所宮崎観測所・山下裕亮助教)「かなりこのエリア自体が不安定な状態に今あるというのは間違いないことです。

つまりあの全体、日向灘のこの特に南部のプレートの境界の全体が今回の地震が起こる前の状態に戻るにはまだ1,2か月くらいはかかる必要があります。その間は何が起こるか分からないということで注意していただく必要があるかなと思っています」

「外所地震」と同じマグニチュード9クラスの地震のリスクも


さらに、大津波が県内を襲ったとされる1662年の「外所(とんところ)地震」の震源と考えられている沖合でもスロー地震と呼ばれる現象が活発化。


山下助教は「外所地震」と同じマグニチュード9クラスの地震のリスクも普段より上がっているとして防災意識を強く持ってほしいと話します。

(京都大学防災研究所宮崎観測所・山下裕亮 助教)「ちょっと大きい地震が起こったというレベルではなく、30年に一度くらいのことが今起こっている。それくらい重大なことだというのを認識していただいてですね、しっかりご家族なりに親族、周囲の方々と日ごろの対策行動の仕方というのを再確認していただく機会にしていただければ私は十分だと思っています」

予測は不可能


1996年の場合は、2か月後に2度目の地震が発生していますが、山下助教によるとその間隔は年単位になる可能性もあり予測は不可能だということです。

改めて日向灘地震の被害想定です。
こちらは県による日向灘地震の被害想定です。


県内で想定される最大震度は宮崎市、延岡市など6つ市の8つ町で「6強」で津波の高さは最大6メートルとなっています。

また死者は、時間帯など最悪の場合、最大およそ1700人、負傷者は5500人と想定されています。



日向灘地震のリスクをこの機会にしっかり理解しておきたいですね。

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