夕日に染まった白い雲と、染まらない黒い雲=東京都台東区で

<Q> 白い雲と黒い雲があるのはなぜですか。白い雲は夕焼けに染まりますが、黒雲は染まらないのも不思議です=愛知県豊橋市・89歳男性 <A> まず、当たり前のことのようですが雲が白く見えるのはなぜでしょう。雲は「雲粒(くもつぶ)」と呼ばれる小さな水滴や氷の粒の集まりです。水や氷は透明なのに白く見えるのは不思議な気もします。  気象庁によると、雲に差し込んだ光は雲粒にぶつかって散乱して進行方向が変わります。無数の雲粒で進行方向が複雑にかき乱されることがポイントだといいます。  太陽光は赤、緑、青などすべての色の波長成分が偏らずに混ざった「白色光」です。雲粒の大きさは数マイクロメートル(1マイクロは千分の1ミリ)。この大きさの粒は、どの色の光も同じように散乱させる性質を持つそうです。特定の色を強く散乱させることがないため、乱された光も均質に白く見えるというわけです。  すりガラスが白く見えるのも同じような仕組みです。表面がざらざらに加工されているので、光が反射したり通過したりするとき乱雑に方向を曲げられるからです。すりガラスのざらざらした面にセロハンテープを貼ると、白さが薄れて向こう側が見えるようになります。表面の凹凸がテープでならされて散乱が抑えられるからです。また、ホッキョクグマが白いのも同様な理由で、複雑な構造を持った被毛が光を乱雑に散乱させるからだと説明されています。  一方、黒っぽく見えるのは日陰の雲です。分厚い雲は光が散乱されるので通り抜けにくく、日の当たっていない裏側は陰になって暗く黒っぽく見えます。空に広がる厚い雨雲などです。高度の比較的低い雲は、ほかの雲の陰になったり、夕方には山などの陰に入ったりして黒っぽく見えることがあります。  白や黒の雲は、日差しの具合による見え方の違いということです。  夕方の太陽光は、昼間の白色光と違って赤い波長成分を多く含んでいます。そのため雲で散乱された光も赤い成分が多く、赤っぽく見えるのです。また灰色の雲は陰になった雲ですから、夕日を浴びないため赤く染まりません。 (永井理)

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