色彩豊かな動物のアートで人気を博す自閉症の画家・石村嘉成さん。

石村さんが画家としての才能を花開かせるまで、いまは亡き母・有希子さんの療育は欠かせないものでした。

嘉成さんが動物が好きなことに気づいた有希子さんは、たびたび動物園に連れて行ったり図鑑やテレビ番組の録画を一緒に見たりしました。
その想い出が、嘉成さんの描く明るい色彩の動物画につながっているのでしょう。

いまや各地で展覧会を開き大活躍の石村嘉成さんに密着し、母・有希子さんと歩んだ日々を振り返ります。

(2024年4月に放送した石村嘉成さんのドキュメンタリーをシリーズでお伝えする第1回です)

自閉症の我が子を「何がなんでも私が立派に育てる」

嘉成さんの絵筆から、個性豊かな動物たちがキャンバスに放たれます。
色鮮やかなその作品は、多くの人を魅了します。

石村嘉成さんは、幼い頃、自閉症と診断されました。

自閉症と分かった我が子に身を粉にして療育に取り組んだのが、母・有希子さんでした。

有希子さんはノートに「何がなんでも私が立派に育てる」という言葉を残していました。

(石村嘉成さんの父・和徳さん)
「愛情深い、大事に思う気持ちの強い、人間らしいお母さん。あそこまでした母親はいないと思う」

有希子さんは、嘉成さんが小学5年生のとき、病で亡くなりました。

嘉成さんが受け取った母の愛。
有希子さんの療育は、今も嘉成さんの創作活動を支えています。

嘉成さんのアトリエを訪ねると…

2024年春、石村嘉成さんのアトリエを訪ねました。
コアラの親子を描きながら、取材班に解説してくれます。
嘉成さんの作品にはストーリーがあるのです。

(嘉成さん)
「このコアラは、お母さんの頭の上にのっています。ユーカリの葉っぱを食べに行くためなのです。動物の親子を描くのは好きです」

スポンジに絵の具を沁みこませて、ぽんぽんと塗る嘉成さん。

(嘉成さん)
「ピンクをのせてみて…今度は白を塗る…さあ最後の仕上げ!」

描き上げた嘉成さんは、大きく両腕を上げバンザイしました。

(嘉成さん)
「やりましたー!」

こちらの作品は、「ミツバチと花」。
2013年にフランスで開かれた新エコールドパリ浮世・絵展ドローイングコンクールで優秀賞に輝いた出世作です。

以来、着実に人気と実力を伸ばしてきた嘉成さんは多忙な日々を過ごしています。

嘉成さんが描きたいのは「ライオン」

岡山県高梁市成羽町の吹屋地区。かつてベンガラ生産で栄えた町です。
ベンガラに染まる吹屋を訪ねたのは2023年の秋でした。

この街に、個展の特別企画で、嘉成さんの作品が展示されたのです。
まず、足を運んだのはベンガラ工房を併設した土産物屋でした。

ベンガラは絵の具にもなると説明を受けた嘉成さんに「どの動物に使ってみたい色ですか?」とたずねると…

(嘉成さん)
「ライオン」

幼い頃、母・有希子さんは、動物が大好きな嘉成さんに、動物の図鑑やテレビ番組の録画を見せたり、動物園に連れていったりしていました。

嘉成さんは、30歳になった今も折に触れ、その図鑑や録画をみているといいます。

石村嘉成さんと母・有希子さんの過ごした日々を描く映画「青いライオン」は2024年秋に公開予定です。

(第2話へ続く)

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