広島カープの優勝に向けて “カギを握る” 野手に迫る。

広島カープ 矢野雅哉 選手
「守れているなっていうのがあるんですけど、もともと守備の人間なので、それが当たり前で、自分の中では自分でそこに貢献しているなとかはあんまり思っていないです。1点を守ることは当たり前の中で、どうやったら打って1点を取れるのかなっていうほうを今、考えています」

矢野雅哉 選手
(7月26日 ヒーローインタビュー)
「絶対、優勝するので、あしたからも応援、よろしくお願いします」

その守備範囲と持ち前の強肩で今シーズン、頭角を現しているプロ4年目、矢野雅哉 。順位変動が激しく、1試合1試合に緊張感があるゲームの中でもその華麗かつ力強いプレーでファンも魅了しています。

実況
「打たせました。二遊間、矢野が追いつく。1塁をアウトにしました。ショート・矢野のファインプレー!」

プロ入り前からこだわりを持っていたのは、やはり守備。持ち味を存分に発揮し、ショートのレギュラーとして出場していますが、そこに感じているのは喜びだけではありません。

矢野雅哉 選手
「もっと自分のできることがたくさんあるなっていう、前半戦を終えてですけど、それを感じています。

現在の1軍メンバーの中でも 小園海斗・田中広輔 など、ショートを “本職” としている選手は多くいます。そんな中、出場機会を得ているからこその責任感を背にグラウンドに立ち続けています。

矢野雅哉 選手
「毎試合出させていただいて、うれしいっていう気持ちもあるんですけど、出る以上はなんとか、いろいろやらないといけないなということもある中で、ここは取りたかったなっていうところでアウトを取れなかったりとか、ダブルプレーを取りたいなっていうときに取れなかったりっていうのが多いので、そこが今、反省するところかなと思います」

その矢野と “鉄壁の二遊間” を組むのが、言わずと知れた “セカンドの名手”・菊池涼介 。

広島カープ 菊池涼介 選手
(7月31日 ヒーローインタビュー)
「本当にいつも隣に矢野さんに引っ張ってもらっているので、『いつも、ありがとうございます』」

1年目のオフから自主トレをともに行い、今やカープの象徴ともなっているリーグ屈指の二遊間ですが、矢野は試合中でも菊池から「守備の極意」をどん欲に吸収していきます。

矢野雅哉 選手
「基本、ぼくが聞くことが多いんですけど、その1プレー1プレーのことについてアウトになってもセーフになっても『あれはこうした方がいいですか?』とかいろいろ聞くことが多いので」

今シーズン、ともに二遊間を組むこと68試合(8月4日時点)。試合を重ねるごとに、より強固になっていく守備に矢野も充実感と成長を感じていました。

矢野雅哉 選手
「もう菊池さんに教えてもらいながらずっとやってきたので、たぶん、“できて当たり前” っていうふうに見ていただいているので、昨年よりはぼくから聞くことも減りましたし、それは感じています。勉強していかないといけないなっていうところもいっぱいあるので、ここからまだ試合がいっぱいあるので、今まで起きたことのないプレーとかもいっぱいあるので、菊池さんに聞くことができたらいいなと思います」

今シーズン、もともと守備に定評のあった矢野が出場機会を増やしているのは…

実況
「2球目を投げました。打った。打ち上げた。ショートが追う。左中間に落ちたぞ。菊池はもう3塁を蹴っている。今、ホームイン。矢野雅哉、2試合連続タイムリー。菊池が還って2-0」

そう、バッティングの成長です。過去3年は打率1割台に沈み、課題となっていた打撃ですが、今シーズンは.243にまで数字を伸ばしています(8月4日時点)。

   試合数 安打数 打率
2022  55  13  .193
2023  93  22  .185
2024  87  62  .243

そして、そのきっかけとなったのは、5月10日、早出練習の際に 朝山東洋 コーチから言われたアドバイスによるものでした。

何が変わったのか、バッティングフォームを比較してみましょう。構えたときのバットの角度を寝かせる形に変更したんです。

矢野雅哉 選手
「ムダな力を入れなくなったっていうか、今まで速いボールに対して自分も速く振らないと当たらないなっていうことでムダな力が入っていたんですけど、今はその力があんまりなくなって振れているなと思います。あんまりシーズン中にバッティングフォームとかを変えることはないんですけど、あそこでやっぱり変えて、それが今につながっているので本当によかったなと思います」

地元6連戦(7月30日~8月4日)を全勝で飾ったカープに攻撃でも守備でも貢献してきた矢野。6年ぶりのリーグ優勝のために、そして誰もが認めるショートのレギュラーになるために戦います。

矢野雅哉 選手
「前半戦はやっぱりピッチャーが抑えてくれた試合がいっぱいあったので、後半戦はもっともっと、ピッチャーが打たれても野手がカバーする試合をどんどん増やしていくことがチーム力だと思うので、そこを目指して1試合1試合をがんばっていきたいなと思います」

  ◇  ◇  ◇

石田充 アナウンサー
4年目ということで優勝を知らない世代になる矢野選手、バッティングの話がありました。実は、こういった数字があるんです。

「フルカウント」での出塁率
1 広島 矢野雅哉 .575
2 DeNA 宮﨑敏郎 .567
3 DeNA 牧秀悟 .561
4 中日 細川成也 .548
5 阪神 佐藤輝明 .543

フルカウントでの出塁率が今、セ・リーグトップ。ほかのバッターってホームランを打てるようなタイプが並んでいて、フォアボールが多くなってくるわけなんですが、矢野選手は “粘りが武器” という中でフォアボールを勝ち取りながら出塁率が5割を超えている。下位打線にいると、また打順の巡りという点で非常にこの出塁がカギを握りますから、守りだけじゃなくて打撃にも数字から見て成長がありました。

青山高治 キャスター
確かに打席で存在感がどんどん増している感じがありますもんね。

石田充 アナウンサー
本人はもう「最近は引っ張ろうと思わなくても引っ張る打球も増えた」というところもありますから。矢野選手も攻守にわたって間違いなく “優勝のキーマン” の1人になっていますから、とにかく、けがをせずに。去年は残り50試合でスタメンは16試合しかなくて、なかなか出番が少なかったんですが、ことしはショートは間違いなく、矢野選手が行けるところまでスタメンだと思いますから、元気な61番の姿を見たいと思います。

青山高治 キャスター
ショートに打球が飛ぶとわくわくしますもんね。

田村友里 キャスター
そうです。でも、守備があれだけすごいのに今でも反省点があれだけ出てくるストイックさもすごいなって思いました。

石田充 アナウンサー
まずは巨人から阪神・DeNAと続く9連戦をぜひ乗り切ってほしいと思います。

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