全県的な反対の動きを受け計画断念となったうるま市石川への陸上自衛隊訓練場整備計画。政府は新たな候補地を選ぶ考えを示していますが、果たして県民の理解を得ることはできるのか。これまでの動きを振り返りながら考えます。

11日・木原防衛大臣
「うるま市における訓練場の整備計画を取りやめる」

計画が明らかになってからわずか4か月で撤回された訓練場整備計画。
防衛省は2027年度までに第15旅団を師団に格上げし防衛力を強化する方針で、それに伴う部隊増強に対応するためうるま市石川に新たな訓練場を整備する計画でした。しかし、訓練場の整備予定地と住宅街との距離は道路を隔ててわずか10メートル。

「学びの場」として多くの人が訪れる石川青少年の家との距離は最も近い場所でわずか15メートルしか離れていませんでした。

明確な説明もないまま進む計画に疑問や不安を募らせた地元の住民たちを中心に、超党派で反対の声があがり、その声は全県的に広がっていきます。

元石川市議会議員OB会・伊波常洋会長(元自民県議)
「保守革新関係なくみんなで、解決するまで、私たちは絶対にこの街に(訓練場を)作らせません」

中村正人うるま市長
「同整備計画の白紙撤回に向け、皆様とともに力を合わせて最後まで頑張って参ります」

唱整備計画に反対する市民集会にはおよそ1000人が入る会場に座れない参加者が出るほど、市内外から多くの人が集まりました。

こうした状況でも防衛省はうるま市のゴルフ場跡地を予定地として取得する方針を変えませんでした。ところが11日、事態が一変します。

うるま市の中村市長らが木原防衛大臣と面談し、訓練場の整備計画について白紙撤回するよう改めて要請したわずか1時間後。木原防衛大臣が正式に計画の撤回を発表しました。

11日・木原防衛大臣
「うるま市をはじめ地元の皆様方にお詫び申し上げます」

整備予定地に隣接する石川青少年の家・石原所長
「(子どもたちの声が)聞こえると思うが、こういう楽しそうな学生時代の思い出になるようなこと。これが普通にできるように断念ということであれば今年度もこうして活動できると思うので安心しています」

一方、防衛省はうるま市での訓練場の整備計画は断念したものの、本島内での訓練場の必要性は変わらないとしています

計画撤回翌日の12日・木原防衛大臣会見
記者
「沖縄本島内に要件を満たせる場所はある?」
木原防衛大臣
「(全国で見ると)人口が比較的多い地域に所在し、そして(中略)住宅地等に近接するといった特性を有する訓練場は複数ございまして、そのような場所においても、その特性を踏まえながら地域の皆様に可能な限り影響が生じないよう配慮しつつ訓練を実施しております。沖縄本島においても周辺の環境に慎重かつ十分に配慮して検討を行うことで、住民生活と調和をしながら、訓練所要を満たすことは不可能とは考えておりません」

防衛省は今後、幅広い視点から計画を再検討するとしていますがー

防衛省関係者・政府関係者
「今回は進め方がまずかった。想像以上の反発。次の場所では丁寧に進めたい」「地元の反対が強くなったタイミングで、本島内の複数の自治体から受け入れを希望する声もあがっている」

12日・玉城知事会見
記者
「今後計画を進めるにあたって政府にはどのような対応を求めますか?」
玉城知事
「自衛隊施設であっても、そのような施設を整備する計画があるのであれば、米軍基地の目に見える形の整理縮小がなされるべきであるというように、これまでも要請をしております。引き続き、そのことを政府に伝えてまいりたい」

今後は新たな候補地としてどこが選定されるのかが焦点となりますが、沖縄戦を経験し、今も広大なアメリカ軍基地を抱える県民の理解を得られるような説明ができるのか。政府の姿勢が問われています。

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