ファミリーレストラン『ジョイフル』の元店長の男性が、長時間労働や上司や部下からのパワハラが原因で働けなくなり、後遺障害も残ったとして、ジョイフルなどを相手取り損害賠償などを求めて提訴しました。

原告男性の代理人弁護士による会見

1か月間の時間外労働「152時間」

8月9日に熊本地裁に訴えを起こしたのは、熊本市東区にある『ジョイフル 熊本御領(ごりょう)店』の元店長で、熊本市内に住む42歳の男性です。

訴状によりますと、男性は2004年に社員としてジョイフルに入社し、2021年1月から熊本御領店で店長を務めていました。

しかし人手不足で休めず、この年の5月から8月にかけて78日間の連続勤務となり、このうち7月14日から8月12日の1か月間の時間外労働は152時間に上りました。

「店が汚いのはお前の管理不足」

男性はさらに、県内でジョイフルの店舗を運営している『ジョイフル西九州』の代表取締役から、「この店が汚いのはお前の管理不足だ」「俺がクルー(部下)だったら、お前みたいな店長だったら辞める」などと怒鳴りつけられたり、部下からも「キッチンクルーが育たないのはお前のせいだ」「今までで一番最悪で、史上最悪の店長だ」と言われたりするなどのパワハラを受けたとしています。

こうしたことから男性は、この年の8月にうつ病を発症し、今年4月に退職するまで休職を余儀なくされたとしています。

男性は、ジョイフルとジョイフル西九州、さらに両社の幹部合わせて3人を相手取り、損害賠償や未払いの残業代など合計約4900万円の支払いを求めています。

労基署「うつ病は長時間労働や連続勤務が原因」

男性の代理人弁護士によりますと、熊本労働基準監督署は去年6月、ジョイフルに対して未払いの残業代があるとして是正勧告を行い、去年7月には「男性がうつ病になったのは、長時間労働や連続勤務が原因」として労災と認定しました。

8月9日、熊本県弁護士会館で開かれた記者会見では、代理人弁護士が、男性のメッセージを読み上げました。

代理人弁護士が読み上げた原告の男性のメッセージ「長年の劣悪な労働環境と今回の長時間労働、パワハラにより心身の限界を超えてしまいました」

原告男性のメッセージを読み上げる代理人弁護士

ジョイフル側の回答は

ジョイフルは大分県を中心に全国でチェーン展開するファミリーレストランで、熊本県内では45店舗を展開しています。

ジョイフルは、RKKの取材に対し「訴状が届いていないので現時点でコメントは差し控える」と話しています。

代理人弁護士が読み上げた原告男性のメッセージ

私は、ジョイフルの店長として働いていました。2021年1月より熊本御領店に異動となりましたが、7か月ぶりの店舗・店長業務で、人員不足による長時間労働と上司・部下からのパワハラにより、精神疾患を発病しました。

本日は、体調が悪いため会見には出席することができませんので、メッセージでのごあいさつとさせていただきます。

2004年にジョイフルに入社して以降、私は、様々な行為によって、精神的な負担を強いられてきました。

・父の危篤時に、当時の上司に代わりの人員を相談したら、自分で手配しろと言われた。
・私が緊急入院する時も、人員手配を自分でしろと言われた。
・本社では、机を定規で叩いたり、舌打ちを何度もされた。
・2016年の熊本地震では、私の実家が被災しているにも関わらず、応援社員を私の実家に宿泊させろといわれた。その後、母にもお礼の電話等はなかった。

ジョイフルで17年間働いてきましたが、長時間労働・サービス残業・パワハラが常にあったというのが、私の実感です。なんとか改善してほしいと思い、労働組合や上司に相談したことがありますが、真面目に解決しようとしてくれませんでした。そのため、私は、会社に相談しても無駄だと感じていました。

長年の劣悪な労働環境と今回の長時間労働・パワハラにより、心身の限界を超えてしまいました。

また、約2年8か月にわたり休職しましたが、会社から連絡があったのは最初の半年に3回ほどだけで、後は、放置されたままでした。

今でも、上司からの言動を夢で見てうなされることがあります。自分は無能だと感じて死にたいと思っている自分に嫌気がさす毎日をおくっています。

会社は、労災申請の事業主証明を拒否しただけでなく、代理人弁護士を通じた提訴前の損害賠償請求にも全く取り合おうとせず、誠意ある対応をしてもらえませんでした。そのため、このたびの提訴を決意しました。

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