8日午後4時43分ごろ、宮崎県日南市で震度6弱を観測する地震がありました。
気象庁は、南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」を発表し、南海トラフ地震の想定震源域では新たな大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると考えられるとして自治体などからの呼びかけに応じた防災対応を呼びかけています。以下、2024年1月10日に掲載した『「地震が起こったからこうだ、大変だというのではなくて、もっと今から考えて」能登半島地震の教訓と備え』を再掲載します。

元日、能登半島地震が発生ました。
地震の教訓をもとに宮崎県内での必要な備えについて考えます。
(全3回の1回目)

能登半島地震の被害に専門家は

2024年元日午後4時10分に発生した能登半島地震。
最大震度7の揺れを観測し、石川県では、建物の倒壊などが多数発生。

また、能登地方に、東日本大震災以来となる大津波警報が発表され、海沿いの地域を津波が襲いました。

9日午後2時現在、石川県内では、死者が202人、安否不明者102人にのぼっています。

今回の地震について、京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は・・・

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「今までの群発地震活動とは比べ物にならない地震が起こってしまった。強い揺れがずっと出続けるっていう状態が続いて、それによって一瞬だけ『ガタっ』と揺れるだけだったら耐えられたものも、長く揺らされると耐えられなくなる。これだけ大きい地震になったので、この能登半島全体でとにかくすごい被害になった」

1月9日時点で石川県内では、能登半島特有の地形や交通網の寸断によって、被害の全容把握が困難なほか、必要な捜索・支援が行き届いていない状況が続いています。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「能登半島の場合は、入口が半島の付け根からしか陸路は入れないので、特に今回、苦労はしてますけれども、宮崎の場合もやっぱり陸路で入れるところはある程度限られていますし、宮崎空港もあれだけ沿岸部にありますから、使えないことは往々にしてあると思います」

もっと今から考えておく

地域防災などに取り組み、東日本大震災や熊本地震で支援活動の経験もある「NPOみんなのくらしターミナル」の初鹿野 聡さんに話を伺います。

能登半島地震の被害を宮崎の防災に生かしていく必要があると思いますが、能登半島地震の被害はどのように受け止めていますか?


(NPOみんなのくらしターミナル 初鹿野 聡さん)
私は、少しシビアな言い方になるのですが、「この地域でこういう被害が出たか」という見方をしています。
「地震が起こったらこうなるよ」という漠然とした見方ではなく、「ここの場所でこうだから、こういう被害が出た」という見方を、今、ニュースを見ながら、一つ一つ見ています。

どういったことなんでしょうか?

(NPOみんなのくらしターミナル 初鹿野 聡さん)
地震が起こったから、確率的な被害が出るわけではなくて、そこの地域性であるとか、地形であるとか、歴史であるとかで被害は変わります。
だから、地震がまた起こったときに、宮崎で起こるかという見方は私は違うと思います。
ケースバイケースですし、そこの文化もあったり、歴史もあるわけです。
そういうところを冷静に、今回、この地震を見るというところが大事だなというふうに思っています。


建物の倒壊なども報道されていますが、どのように見ていますか?

(NPOみんなのくらしターミナル 初鹿野 聡さん)
多分、耐震化が進んでなかったのだろうなというのと、逆にそういう古い町並みを観光に使っていたという背景もありますよね。その辺のところの兼ね合いを皆さん考えてますかと。
各地域、その辺も含めたトータルで考えると、ある意味、警鐘を鳴らしてくれていると思います。

今回の地震では、特有の地形や交通網の寸断で捜索や支援が遅れましたが、この点についてはどうですか?

(NPOみんなのくらしターミナル 初鹿野 聡さん)
これもとってもシビアな言い方をします。
こうなることは、前からわかっていました。ボトルネックは地形的にわかっています。ということは、そこが閉じれば、海から行くしかないってこともわかっています。そこで津波が来て、港が壊れれば海から支援ができない。これも地図を見ればわかります。
そういうふうな冷静なものの見方が、今、「それぞれの備えとしてできてますか?」というふうにやっぱり見なければならない。
今回、地震が起こったからこうだ、大変だというのではなくて、もっと今から考えておく、宮崎も3か所ぐらいしか入るとこないとなったら、海からのアプローチを考えておくというのは、今でもできることです。
それを今回の地震の教訓として受け止めるべきだと私は思います。

MRTテレビ「Check!」1月9日(火)放送より

※MRTテレビ「Check!」1月9日(火)放送分を再構成

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