腸内細菌移植のイメージ

 国立がん研究センターと順天堂大などは8日、食道がんと胃がんの患者を対象に健康な人の便に含まれる腸内細菌叢(腸内フローラ)を移植する臨床研究を開始したと発表した。こうした移植は国内では潰瘍性大腸炎で一部実施されているが、がんでは初めて。安全性や併用するがん免疫治療薬の効果が高まるかどうかを確認する。  人の腸管には千種類以上、40兆個以上の細菌が存在する。これらの細菌の集まりである腸内細菌叢は個人差があり、食事や加齢、ストレス、薬などでバランスが乱れる。  臨床研究は免疫の仕組みを利用した「免疫チェックポイント阻害薬」での治療を予定する進行したがん患者が対象。この治療薬の効果は個人差が大きく、腸内細菌の多様性が低いと効果が短いと報告されている。移植で腸内細菌のバランスを回復させることで免疫機能が改善し、薬の効果が高まることが期待できるという。  患者はまず抗生物質を服用し、自身の腸内細菌を減らす。その後、ドナーの便から細菌叢を抽出した溶液を大腸内視鏡で大腸の奥(盲腸)に投与する。


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