「ボツリヌス菌」とみられる食中毒で富山市の3人が重症となっています。密封された食品の中で増殖し、命にかかわる食中毒を引き起こすボツリヌス菌。この菌が生み出す毒素は「最強の自然毒素」ともわれています。
特徴は? 症状は? 発症したらどうすれば? そして 対策とは?

富山県内で初確認「ボツリヌス感染症」 3人が重症で入院

富山市で7月、10代から80代の家族4人が目の異常や呼吸困難などの症状を訴えました。このうち10代と50代、それに70代の女性3人は6日現在も重症で、富山市内の病院で入院しています。

富山市保健所

増殖に酸素不要 熱にも強い「ボツリヌス菌」その毒素は「最強の自然毒素」とも…

「ボツリヌス菌」は、土壌や海、川の泥砂中などに広く存在しています。酸素のない状態で増殖し、強い毒素を作ります。この毒素を含む食品を食べることで「ボツリヌス食中毒」は引き起こされます。

富山県衛生研究所 大石和徳所長:「一番問題なのは菌が毒素を出す、神経毒を出します。これが非常に強力な毒素で致死性が高く、微量でも動物や人に投与しても死に至る。そんな毒素をだすのがボツリヌス菌です」

「ボツリヌス毒素」は最強の自然毒素ともいわれています。

ボツリヌス食中毒 死につながる可能性も… すぐに医療機関へ

重症となっている富山市の3人は、目の異常や呼吸困難などの症状を訴えましたが、どんな症状を引き起こすのでしょうか?

富山県衛生研究所 大石和徳所長:「物が二つに見えるとか、眼瞼が垂れ下がってくるとか、そういう神経症状。それ以外にも全身の弛緩性麻痺と言いますが、呼吸することができなくなるような状態に陥っていくので、大変怖い病気です」

ボツリヌス菌による食中毒が起きた場合、直ちに死につながる可能性があるとして、すぐに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

原因食材の特定はまだ… どんなことに注意が必要?

原因となる食品の多くは保存食品や発酵食品で、国内では熊本県の郷土料理「辛子レンコン」や北海道の郷土料理の「いずし」などによる事例が報告されています。

また、原因となる食品を食べてから多くは18時間から48時間後に症状が現れるといいます。今回は、自宅で食べたものが原因とみられていますが、まだ食材の特定には至っていません。

富山県衛生研究所 大石和徳所長:「国内でもたまにしか発生しません。富山県内では初めてですが、今回のように家庭内でも起こることが確認されたわけですので、非常に注意しなければいけないと思います」

では、どんなこと注意しなければいけないのでしょうか?

富山県衛生研究所 大石和徳所長:「食べ物を家庭でもしっかりと洗浄して、冷蔵保存して、速やかに食べるということは原則です。しかし、パックされたような密閉されたような食材であっても、必ず消費期限があるので、それ以上のものは食べない。あるいは、真空パック商品が膨張して変だと思うとき、変な臭いがあった時には、菌が増殖している可能性があるので、食べないようにした方がいいですね」

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