この記事では、毎年この時期に必ずお伝えする「夏休みに知っておきたいビーチの危険生物」について、沖縄を拠点に活躍する社会福祉士・防災士の稲垣暁さんの解説でお送りしていきます。
(月~金・あさ7時生放送「アップ‼」7月24日(水)放送回より構成)

沖縄県は6月1日から9月30日の間、「ハブクラゲ注意報」を発令

稲垣)今日も前回に続いて「沖縄のビーチの危険性(その2)」です。

(その1)の記事はこちら「ハブクラゲとカツオノエボシで異なる対処法」

海辺での“刺される被害”の代表的な2種類、被害の4割を占めるハブクラゲ、そしてつい触ってしまいそうなフォルムをしている美しいカツオノエボシへの対処をおさらいしましょう。まずハブクラゲは…

ハブクラゲ



・刺された部分は絶対こすらない
・海水に浸して触手を取り除いた後、「お酢」をたっぷりかける


ということを話しました。

絶対あかんのは「真水」「アルコール」での処置、そして「砂をかける」。これらはNGなんですね。これは覚えとかないといけない。

覚えよう「カツオノエボシはお酢NG」

一方、カツオノエボシ。これは青みがかった虹色のような美しいフォルムなんですね。これに刺されたら、まず海水で触手を洗い流してください。

カツオノエボシ


絶対駄目なのは…
・「真水」「アルコール」「砂」で処置すること

ハブクラゲでOKな「酢」が駄目なんですね。カツオノエボシは「酢」が駄目ですね。これも覚えておかなあかん。紛らわしいよね。

ここまでは前回のおさらい。ここから先は、これ以外に存在を知っていただきたい海辺の生き物を5つご紹介します。夏休みなのでぜひ図鑑などで調べてほしいです。

1.ウンバチイソギンチャク

まず最初は「ウンバチイソギンチャク」。

ウンバチイソギンチャクに刺されたら海水で洗い流し、冷やす


海藻のような感じでリーフの岩などに生息をしていて、体長10センチから20センチぐらいです。刺されたら激しい痛みで、場合によっては腎不全にもなってしまいます。

これに刺されたときは海水で洗い流して、その後は、氷や冷水で冷やしてほしいということです。(引用:沖縄県および県警HP)

ーこれは海にいると分かりづらい!

稲垣)石というか岩みたいな見た目で“擬態”しているからね。これも「真水」「アルコール」「酢」がダメなんですね。ウンバチイソギンチャクは、カツオノエボシ同様、酢はNGです。覚えておきましょう。

2.オニヒトデ

続きまして、オニヒトデ。

オニヒトデに刺されたら「40度から45度のお湯につける」


サンゴを食べる悪者のイメージだけども、サンゴが増えすぎないためのバランス役を買っているという説もあるんです。表面に毒を持ったトゲが無数にあって、刺さると折れて体内に残って激しい痛みが出ます。

刺さった時どうするのか。40度から45度のお湯につけて医者にみせてくださいということです。(引用:沖縄県発行リーフレット)

3.ガンガゼ

お三方目は「ガンガゼ」です。

サッカーボール大の巨大ウニですけども、長いもので30センチのトゲに毒があって、それが体に当たったらバキバキと折れて体内にトゲが残るんですね。僕は2回ぐらい蹴ってしまって、体中にトゲが入った。今もどこかにあるんだろうと思ってますけども…

ー怖すぎる!

ガンガゼに刺されたら「40度から45度のお湯につける」

毒による激痛や、筋肉麻痺が起こるとされています。これも、大きなトゲを取り除き、40度から45度のお湯につけて医者にみせましょう。(引用:沖縄県発行リーフレット)

4.オニダルマオコゼ

次は、オニダルマオコゼですね。

オニダルマオコゼに刺されたら「40度から45度のお湯につける」


見た感じも悪そうな感じもするんだけど、大きいんです、40センチ程度。

ーいかにも毒がありそうな いかつい顔してる!

稲垣)岩に擬態してリーフに潜んでいて、背びれの硬いトゲがビーチサンダルやマリンブーツを貫通してしまう、地雷みたいなやつなんですね。強力な神経毒で呼吸困難や痙攣を起こしてしまうということで、刺されたときは40度から45度のお湯につけてお医者さんにみせましょう。(引用:沖縄県発行リーフレット)

5.ミノカサゴ

そして最後ミノカサゴ。

サンゴや岩場の陰にふわふわと泳いでいるのを僕もよく見ました。背びれ腹びれ尾びれに毒があって、刺されたら患部が腫れ上がって指が曲がらなくなると。また眩暈、発熱、発汗・頭痛・吐き気・呼吸困難なども起こすということで結構手ごわいんですね。

刺さったとき、これも同じく40度から45度のお湯につけて医者にみせる、ということです。(引用:沖縄県発行リーフレット)

写真は「ハナミノカサゴ」。刺されたら「40度から45度のお湯につける」


こういった危険生物の存在と対応を夏休みの子どもたちにどう教えるか、ですけども、「触らなければ何もしてこない」。やっぱり触らないことが大事と伝えて、大人も気を付けていきましょう!

編集スタッフ注)
7月の放送からここまで、ハブクラゲ・カツオノエボシとその他5種類の生き物の対応を解説しました。

ハブクラゲ・カツオノエボシ・ウンバチイソギンチャクに刺されたときは「冷やす」処置を勧め、オニヒトデ・ガンガゼ・オニダルマオコゼ・ミノカサゴの場合は「温める」と、必要とされる処置が異なることに気づいたでしょうか。(引用:沖縄県発行リーフレット)

しかし、どの生き物だったかはっきりしなかったり、海の生き物の知識に自信がない場合はどうしたらいいのでしょうか。医師にも取材しました。

患部は冷やす?温める?

対処法に詳しい浦添伊祖皮膚科の園崎哲院長は「いざ実際の海辺で、どっちだっけと迷ったら、温める」よう勧めています。

それでも、冷やすのが間違いということではなく、温めるほうがより良い、という程度だとのこと。諸外国の報告で、温めたほうが痛みが和らいだという報告が多いことからそう考えられているのだそうです。

これは毒の成分がタンパク質の場合、40から45度ぐらいのお湯に浸けると、毒の力が弱まる)ことが理由と考えられています。対処法が分からない、何に刺されたか分からないとりあえずは温めて、個人によって、例えば腫れたりしたときは、冷やした方がいい場合もある、と覚えておきましょう。
(RBC iラジオ「アップ‼」コメンテーター稲垣暁、編集:久田友也)

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