野菜作りに夢中に取り組み、JAの正組合員にもなった中学生が安曇野市にいます。
将来も農業をしたいという中学生の夢を追いました。
安曇野市にある1軒の農家。
朝、農産物直売所に出荷する野菜を積み込む中学生の姿が。
夏休みのお手伝い、かと思いきや…
中学生:
「この野菜は自分で作ってきのう荷造りしました。こっちがジャンボ唐辛子の福耳という品種で、こっちが赤しそです。梅漬けるとき使ったり、ジュースにすると結構おいしいんですよね」
自分で野菜を育てて出荷しているという中学2年生の飯沼永遠(いいぬま・とわ)くん。
永遠くんが管理しているという畑に案内してもらうと。
飯沼永遠くん:
「ここが僕の畑で、いつもここで青梗菜とか水菜とか、そういうのを作ってるんですけど、今は暑くてできないから二十日大根やってます。この下がコショウですね」
種まきから植え付けまで、永遠くんが手塩にかけたジャンボ唐辛子が鈴なりに実っていました。
飯沼永遠くん:
「カルシウムみたいなのを入れないと所々黒くなっちゃったり結構するから(肥料は)おじいちゃんとかに聞いてまいてやります」
小さなころから父親や祖父と一緒に畑に出かけては土遊びをしていたという永遠くん。
小学校に上がるころには、見よう見まねで野菜を育てるようになり、4年生のとき、なんと年間50日以上農業に従事することが求められるJAの正組合員になったのです。
飯沼永遠くん:
「出来は大きくていいですよ」
「肉厚になるとちょっと艶っていうか、ちょっとテカってくるんで、そういうのを見て、やってる感じですね」
「今年みたいに大きいし、数がいっぱいなるとうれしいですね」
(永遠くんもこれ食べるの?)
「辛いから食べません」
平日は学校に通いながらも、朝と夕方はせっせと畑に出て、年間20品種ほどの野菜を作っています。
この時期はジャンボ唐辛子の他、ウリや赤しそなどを栽培していますが、ナスやキュウリといった夏野菜は作りません。
飯沼永遠くん:
「メジャーなやつばっかりだと、かぶってかぶってしょうがないじゃないですか。あと値段の競争になっちゃうし。だったら誰も作ってないようなスキマ品目じゃないですけど、やった方が売れるし」
頼もしい孫に祖父の春夫さんも期待を寄せます。
祖父 春夫さん:
「好いたように、嫌な時もあったりいろいろだよ。将来そのまま行ってくれれば後継者としてはありがたい」
収穫した野菜は直売所で販売するため、その日のうちに袋詰めして荷造りします。
JAの組合員は、自分の名前が書かれたシールを貼って出荷することができます。
飯沼永遠くん:
「穴開いたり悪いやつはチェックして、なるべくきれいな状態で出そうという気持ちになる」
父親の竜也(たつや)さん。
永遠くんの農業の師匠であり、よき仕事仲間です。
父親 竜也さん:
「最初の頃はやっぱ虫に食われたりとか、そういうのあったけど、最近はいいもん作るようになってきてね。もうここまでいくとライバルですよね」
永遠くんと竜也さんは毎朝一緒に出荷に出かけます。
JAあづみの直売所「ハイジの里」です。
朝7時の出荷時間を前に地元の農家が集まっていました。
みんな永遠くんの”お友だち”です。
農家仲間:
「中学生だと思っていない。だってもう1人前だもん」
「うちよりいっぱい作って売ってんだからさ。いないと寂しいよ」
永遠くんは年間を通して1万点もの野菜を直売所に出荷しています。
丹精込めて作ったジャンボ唐辛子と赤しそ。
慣れた手つきでいつもの売り場に並べました。
新鮮な野菜を購入できると地元の人や観光客に人気の直売所「ハイジの里」。
早速、永遠くんのジャンボ唐辛子を手にする人も。
女性客:
「いつもここに買い物に来ると必ずこの中学生の野菜求めてます。どうやって食べればいいのかなというふうに思案中です」
男性客:
「これからはいいんじゃないすか生産者の担い手としてね。そういう方がいればね。どんどん増えてもらえばいいと思いますよ」
お客さんからおいしかったと言われるのが何よりも励みになるという永遠くん。
将来も農業を続けていきたいと夢を語ります。
飯沼永遠くん:
「もうちょっと規模を拡大したいなっていうのが当面の夢ですかね。この農家、家を継げればいいかなって思いますね」
午後4時半、仕事場でその日の「ハイジの里」の販売実績を確認します。
永遠くん:
「パパの方が上だ」
父親:
「ほら、お前の方が上だ。点数は勝ったけど金額は永遠の方が上だった」
「負けたんでゴチになります」
永遠くんは直売所の収益の中から肥料や資材費などを支払っていて、残りは大切に貯金しているそうです。
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