小林市で今、ある植物が大繁殖しています。現場では信じられない光景が広がっていました。

ここは、小林市のとある場所。一面に鮮やかな緑が広がっている。

(記者)「何の場所だと思いますか」
(県民)
「ゴルフ場かな?」

「ゴルフだと思います」


「芝?」
「池」「ゴルフ?」
「おにごっこ。楽しそう」
「ため池かなんかですか」
「ダム?」

様々な意見が聞かれたが、ここは小林市を流れる岩瀬川と大淀川の合流点付近に位置する宮崎県営の「岩瀬ダム」。

(県民)
「えー!すごい!初めて見ました」
「川!?そういえば芝じゃないような気もするね。」

その実態を知るべく、現地に向かった。
(垣内沙耶記者)
「わーすごい」
この緑、一体どこまで続いているのか。ドローンを飛ばし確認した。

蛇行する川にあわせてかなり奥の方まで緑が続いているが、ドローンではすべてを映すことはできなかった・・
そこで、全貌を確かめるべく、空へ向かった。

(垣内記者)
「岩瀬ダムの上空に到着しました。鮮やかな黄緑色が上空からでも際立って見えています。」 

謎の緑の正体は一体!?

正体は「特定外来生物」

小林市を流れる岩瀬川と大淀川が合流する場所の近くにあり、宮崎県が管理する「岩瀬ダム」。

上流の方に目を向けると一面に緑が広がっている。その正体は?

(都城土木事務所・鏡園義幸課長)
「外来植物となるウキクサになります。ボタンウキクサ、ホテイアオイ、ブラジルチドメグサの3種類になります」

緑色の正体は、ウキクサ。
そのほとんどは、ウオーターレタスと呼ばれる「ボタンウキクサ」だ。

(垣内記者)
「根の長さ80センチぐらいあるんじゃないでしょうか?横幅も30センチぐらいはありそうです。葉っぱは結構丈夫で、周りに小さな毛が生えているので、ふわふわしていてすごい触り心地はいいです」  

    
もともと「ボタンウキクサ」は、観賞用として輸入された熱帯原産のサトイモ科の植物で「特定外来生物」に指定されている。

岩瀬ダムでは去年10月にウキクサが確認され、11月には約11ヘクタールに繁殖。


県では、今年2月から4月にかけて除去作業を行い1ヘクタールまで減らした。
その直後の写真がこれだ。

2キロ以上 東京ドーム9個分にあたる面積に

しかし・・・

(都城土木事務所・鏡園義幸課長)
「5月の連休明け以降に、爆発的に増殖して現在に至っているところです」  

             

およそ1か月後、ウキクサは再び大繁殖してしまった。
では、現在、どこまで広がっているのか。ドローンで上空からその様子を撮影した。水面を覆いつくすウキクサ。蛇行する川に沿って上流までドローンを飛ばしてみるものの、その全貌を確認することができない。

ウキクサは、一体どこまで続いているのか。その全貌を確かめるため、ヘリで空へ向かった。小林市の上空から岩瀬ダムを見てみると・・・

(垣内記者)
「ウキクサが川の形にあわせてすきまなく広がっています。そして、その範囲は想像をはるかに超える広さです。繁殖力の強さをうかがえます」           

水面を覆いつくすウキクサは、2キロ以上にわたって続いているのが確認できた。

その広さは40ヘクタール、東京ドーム9個分にあたる面積だ。
ここ数か月でその生息域が40倍に拡大したことになる。

県によると、岩瀬ダムでは2010年以降、数回、ウキクサの発生が確認されているそうだが、ここまで繁殖するのは初めてだという。

(都城土木事務所・鏡園義幸課長)
「このように爆発的に増えたのは今回が初めてというような経験になってます。声にならないというかびっくりするの一言ですね」 

クローンとして繁殖             

なぜ、ボタンウキクサが爆発的に増えてしまったのか。

南九州大学環境園芸学部の山口健一教授に現場を見てもらうと・・・

(南九州大学環境園芸学部・山口健一教授)
「ここの特徴というのは一つ一つの個体がかなり大きいので、もしかしたら窒素とか、リン、この雑草が増える栄養素というのがいっぱいあるのかもしれないですね」


ボタンウキクサの最大の特徴はその繁殖力の強さ。

花を咲かせて種をつけるため、風や水、動物、人間などによって拡散されるほか、
水の中で横に茎を伸ばし、その先に新たな株をつけて増殖するという。

(南九州大学環境園芸学部・山口健一教授)
「水平方向にね、次々クローンとして繁殖をします。ですから、あっという間にこのように水面全体がボタンウキクサによって覆われてしまいます」  

   

そして大繁殖の要因のひとつとして、水の温度も関係しているという。

(南九州大学環境園芸学部・山口健一教授)
「基本的には、ボタンウキクサの場合は10℃を超えるとストロン(水平方向の茎)を形成して増殖をするということなんですけども10℃を下回ればいいかというと必ずしもそうではなくて10℃を下回ったとしても、どこかで数株は冬越しをしてしまう個体が出てしまいます。そうすると、彼らの生き残り戦略で次の年はこのような状況になってしまいます」          

さらに、ボタンウキクサの間から縦に伸び、紫色の花を咲かせているホテイアオイも同様に繁殖力が強い植物だ。

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