日本原子力発電(原電)敦賀2号機(福井県)の原子炉直下に活断層が通る可能性があるとして、原子力規制委員会は2日、再稼働に向けた申請が新規制基準に不適合だとする審査書の作成を決めた。東京電力福島第1原発事故後に策定された新基準で不適合となるのは初めてで、再稼働はできなくなった。原電は新たな証拠を探して再申請する考えを示したが、結論を覆すのは困難だ。

◆日本原電は審査継続求めるが…「結論変更の可能性乏しい」

敦賀原発2号機

 この日開かれた臨時会合には原電の村松衛社長が出席し、規制委の委員5人に今後の方針を説明。村松社長は「追加調査によるデータ取得で活断層を否定できる論理を再構築する。期間は1年以上必要で、2カ月程度で計画を示したい」と審査継続を求めた。  しかし、規制委の山中伸介委員長は「調査の具体性は乏しく、期間が不明確。多少データが加わっても結論が変更になる可能性は極めて乏しい」と退けた。活断層を否定する新証拠をつけて再申請する際は受け付ける考えも示したが、「敷地内には断層が130本以上あるほか、敷地外の断層評価も必要だ」と述べ、困難さを指摘した。

◆秋ごろに「新基準に不適合」正式決定へ

 意見聴取後、山中委員長は「申請が新基準に不適合」とする審査書案の作成を事務局の原子力規制庁に指示した。秋ごろに不適合が正式決定される見通し。  敦賀2号機を巡る審査は、①原子炉の北約300メートルにある「K断層」が活断層かどうか(活動性)②K断層が原子炉直下までつながっているかどうか(連続性)―が焦点。規制委の審査チームは5月、①について活動性の可能性があるとし、7月26日には②も「連続性を否定できない」と結論付けた。  新基準では、大地震を引き起こす恐れがある活断層の上に原子炉など重要な施設を設置することが禁じられているため、新基準に適合しないと判断した。

◆東海第2原発も再稼働見通せず

 村松社長は規制委の決定後に報道陣の取材に応じ、廃炉を否定した上で「再稼働に向けて再申請を目指す」と述べた。  原発専業の原電が運営する原発は、敦賀2号機と東海第2原発(茨城県、停止中)。敦賀2号機の再稼働が遠のき、深刻な経営危機に立たされる。東海第2の再稼働に望みをかけるが、防潮堤建設工事で不備が見つかり、いつ再稼働できるかは分からない。(荒井六貴、山下葉月)


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