4月、北海道旭川市で当時17歳の女子高校生が、橋から川に落とされ、殺害された事件で新たな動きです。

旭川地検は2日、殺人などの罪ですでに起訴された内田梨瑚被告と共謀し、女子高校生を殺害したなどとして、19歳の女を起訴し、氏名を公表しました。

 18歳と19歳を【特定少年】と位置づけた『改正少年法』がおととしに施行された後、北海道内の検察が、氏名を公表するのは初めてです。

起訴状などによりますと、19歳の女の被告は4月18日夜から19日未明にかけて、内田被告らとともに、女子高校生をおよそ4時間、車に監禁。

その後、19歳の女の被告と内田被告の2人は、旭川市郊外の神居大橋で、監禁されて抵抗できなくなった女子高校生に服を脱ぐよう命令し、欄干に座らせて、謝罪させる動画を撮影したうえで「落ちろ」「死ねや」と言うなどして、川に落としたということです。

旭川地検は、19歳の女の被告の認否を明らかにしていませんが、起訴前の警察の調べに対し、否認していました。

警察の調べに対し、内田被告は19歳の女の被告について「自分の“舎弟”だ」と話しているとのことです。

若者が集まる旭川市の歓楽街「3・6(サンロク)街」でよく目撃されていた2人。

事件の数日前には、19歳の女の被告が解雇された職場に、2人で押しかけトラブルを起こしていたといいます。

このトラブルとは別の、アルバイト先の関係者は、19歳の女の被告について「遅刻や勤務態度が悪く、2か月で辞めさせた。毎日飲み歩いていてずっと眠そうだった」と、私たちの取材に証言しています。

また、中学の同級生は「小学校高学年のときに、友だち何人かと遊んでいて、1人とケンカしてムカついて、包丁出して突きつけたという話を聞いた」と話しています。

 今回の事件の発端は、内田被告の画像を女子高校生が断りなく、SNSに使用したことでした。

一連の犯行は、内田被告が主導したとみられますが、旭川地検は氏名を公表した理由について「事案が重大であることと、社会的関心を踏まえ、氏名を公表するのが相当と判断した」「19歳の女の被告がどれくらい関わっていたかについても考慮している」とコメントしています。

 元検察官の中村浩士弁護士に“特定少年”の実名公表について、見解を尋ねました。

中村浩士弁護士(元検察官・シティ総合法律事務所)
「どこの年齢で線引きするのかは“非常に難しい問題”です。被害者が死亡しているという重大性と、かなり執拗で残忍だという殺害の容態としての悪質性という点で、旭川地検は、社会的反響の大きさも考慮して、実名公表が相当であるという判断に至ったと思う」

 「今後の手続きとしては成人の内田梨瑚被告と同様に進められることになります。具体的には、殺人罪等の重罪なので裁判員裁判の対象となります」

改めて、事件の構図を振り返ります。

4月19日、内田被告と19歳の女の被告らは共謀し、北海道留萌市の女子高校生を車で旭川市まで監禁しました。

途中、立ち寄った旭川市のコンビニエンスストアなどでは、被害者の女子高校生の馬乗りになって、顔を殴るなどしました。

その後、16歳の少年と少女は途中で降り、内田被告と19歳の女の被告は、女子高校生を連れて、殺害現場の旭川市の神居古潭に移動します。

そして2人の被告は、神居古潭の“神居大橋”付近で、女子高校生の着衣を脱ぐよう命じて、全裸にさせ、土下座で謝罪させる様子をスマートフォンで撮影。

さらに“神居大橋”の欄干に座らせて「落ちろ」「死ねや」などと脅して、約10メートル下の石狩川に落とし、殺害した罪に問われています。

内田被告と19歳の女の被告のほか、監禁などの疑いで逮捕されていた16歳の少年は、少年院に送致。16歳の少女は保護観察の処分となっています。

なぜ、被害者の女子高校生は、2人の被告によって、殺害されなければならなかったのか。事件の解明は法廷の場に移ることになります。

■【おことわり】
HBCでは、18歳と19歳の特定少年の被告を実名で報じるかどうか、事件ごとに判断しています。

今回の事件は、1人の高校生の命が失われた結果の重大性、社会的影響の大きさなどを総合的に判断した結果、地上波テレビ放送では実名で報じることにしました。

なお、デジタル配信の記事は、半永久的に残るインターネットの特性を考慮して匿名で報じています。

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