御陣乗太鼓(石川県無形民俗文化財)発祥の地、石川県輪島市名舟町で1日、名舟大祭が開かれた。能登半島地震で奥津姫(おきつひめ)神社(白山神社)が全壊した影響などにより、今年はふもとの海岸で神事のみを行い、御陣乗太鼓保存会の会員6人が勇壮な演舞を奉納した。集まった地元住民らは食い入るように演舞を見つめた。

縮小開催になった名舟大祭で御陣乗太鼓を披露する保存会のメンバー=1日、石川県輪島市名舟町で

 鳥居は崩れ、近くの山肌は茶色い土が露出するなど地震の被害が色濃く残る中、海岸に仮の祭壇を設けて神事を営んだ。その後、夜叉(やしゃ)などの面を付けた会員たちが太鼓を披露。威嚇するように雄たけびを上げつつ、ばちを鋭く振り下ろして力強い音を響かせた。自宅が被災し、仮設住宅で暮らす赤田出(いずる)さん(78)は「つらい時期だが地震前と変わらない太鼓の音に元気づけられた」と話した。

◆400年続く行事を縮小「一日も早く元通りの生活に」

 保存会代表の槌谷博之さん(57)によると、町内で犠牲になった人、今も行方不明の人がいることから当初は中止する予定だったが、会員が熱望したことで実現した。槌谷さんは奉納後「気持ち良く太鼓を打つことができた。一日でも早く元通りの生活に戻れたら」と願った。  御陣乗太鼓は、名舟出身の男性だけが受け継いできた400年以上続く伝統芸能。祭りは例年2日間開催するが、今年は1日のみに縮小。みこしの海上渡御やキリコ巡行などは取りやめた。(脇阪憲) 

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