市川市発注の下水道工事を巡る贈収賄事件で、幹部職員が県警に逮捕されたことを受け、田中甲市長は31日、市役所で記者会見を開き「市民に心からおわびします」と謝罪した。田中市長は、逮捕容疑となった3件の工事以外にも「疑念を持った案件があった」と明らかにし、「(今回の事件を機に)市川市のうみ、闇の部分を出し切りたい」と述べた。(保母哲)

◆市長「点から線、面へと広がっていくのか」

 入札情報を漏らし、収賄と官製談合防止法違反容疑で逮捕された市下水道部次長の八田一生(かずお)容疑者(59)は、2016年から水と緑の部(当時)河川・下水道整備課長、河川・下水道建設課長、次いで部次長となり、組織改正で23年から現職。同部の森田敏裕(としひろ)部長は「実直で、責任感を持って業務をしていた」と話した。

幹部職員が逮捕され、記者会見で陳謝する田中甲市長(右)=市川市役所で

 市によると、逮捕容疑の下水道工事は、23年に柏井町で行われた市川第4—4処理分区汚水管渠(かんきょ)敷設工事2件と、公共下水道道路復旧工事。いずれも武内建設が落札し、贈賄容疑などで同社の代表取締役、武内剛(たけし)容疑者(59)が逮捕された。  会見で田中市長は、一昨年に市動植物園に絡む管理契約で、八田容疑者が同園に入札予定価格などを尋ねたことに疑念を持ったとした。落札価格とほぼ同じだったためで、市長室に呼び出した八田容疑者は「(入札価格の)数字を聞いたが、業者に漏らしてない」と返答。田中市長は今春の人事異動で、八田容疑者の昇任を見送っていたという。  県警が約75人体制で捜査本部を設置したことなどから、田中市長は地元の業界団体も挙げながら「(事件が)点から線、面へと広がっていくのか」と憂い、「市民の信頼を得るために、市役所の体制を変えないといけない」と述べた。

◆全職員を対象にアンケート実施の方針

 市は職員倫理規則で業者ら利害関係者からの供応接待や、中元、歳暮の受け取りの原則禁止を規定しているが、全職員を対象に「中元などを受け取ったことがあるか」といったアンケートを行うことも明らかにした。


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