島根県松江市を拠点に活動する、路上詩人こーたさん。
相手の顔と名前からインスピレーションを得て詩を書く独特なスタイルで人気テレビ番組にも取り上げられ、一躍有名になりました。
コロナ禍を経て変わりつつあるこーたさんのスタイル、路上詩人の今を取材しました。

6月、出雲市内の幼稚園。
かわいい園児たちの歌の歓迎を受けたのは…

「こーたといいます。年長さんがやってる習字、字を書くお仕事をしています」

松江市を拠点に「路上詩人」として活動している「こーた」さんです。

この日は、まどみちおさんの詩を自らの世界観で表現した作品を幼稚園に寄贈しました。

路上詩人 こーたさん
「僕も字で表現する立場なんですけど歌として親しまれたものなので子供たちに色んな個性を持ってるから個性を奏でながらみんなで協力し合っていってほしいなっていう思いを込めて書かせていただきました。」

こうしたこーたさんならではの作品は、自宅1室の作業部屋で生まれています。

路上詩人こーたさん
「松江城の御城印を制作したりとか、言葉を書いてほしい、プレゼントしたいんでという依頼があってそれを制作して送ったりとか」

他にもイベントでの書道パフォーマンスなど県内外から数々の仕事が舞い込む人気の書家。
そんなこーたさんが有名になったきっかけというのが…。

路上詩人こーたさん
「出雲の方で路上してる時に相席食堂っていう千鳥さんの番組に出させてもらったのがけっこう反響が大きくて」

人気番組「相席食堂」のロケに偶然遭遇し、お笑い芸人・イジリー岡田さんに詩をプレゼントしたところ、その独特なスタイルがスタジオで大ウケしたのです。

一体どんなスタイルなのか?
実際に路上での活動に同行させてもらうと、早速お客さんがやってきました。

「じゃあ、ちょっとだけ僕見てください」

ヘッドホンを装着したこーたさん、すっと顔つきが変わります。
相手の顔をじっと見つめること数秒間…
にっこりと頷くと、大音量の音楽を聴きながら一心不乱に筆を走らせます。

相席食堂では、ここで千鳥の2人が「ちょっと待てい!!」を連発。
このスタイルが大受けして一躍こーたさんの名前が全国へ広がったというわけです。

Q.けっこういじられてる感じもありました?
「そうですね、ベースとして書をやってることに対して笑顔になる人が増えたらいいなとか力になる人が増えたらいいなと思うので、決して否定的なお笑いじゃなかったと個人的には思ってる。僕を生かしてもらって皆さんが楽しんでもらえたって。」

その反響で面白さを求めてやってくるお客さんもいますが、こちらの男性に贈った言葉は…

「しゃがんだ分だけ必ず高く跳べる、かずのりが上へ上へと進み笑うために今があるから大丈夫」

何も事情は聞かないまま顔だけを見て、こーたさんが綴ったこの言葉。
男性には深く響いたようです。

男性客
「足の具合が悪くて退職することになりまして、収入もなくなって…足も治さないと次の仕事に行けないですし。今沈んでるのが一番底っていうか、これから飛躍していければなと思いました」

路上詩人こーたさん
「合ってるかどうかよりも、寄り添うことがすごい大事だなと思っていて。何か力になれる言葉が生まれるんじゃないかなっていうのはすごい思いますね、そこを大事にしてます」

路上詩人として、出会った人々に言葉を贈り続けてきたこーたさんですが、じつは、路上に立つのはこの日が数年ぶりのこと。

路上詩人こーたさん
「やっぱりコロナ禍の期間、『書』としての活動をしていく、在り方を考えた。」

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