実は今、全国的に花火大会がピンチを迎えているそうなんです。
克服しようという取り組みを取材しました。

県内屈指の観光地、美祢市の秋吉台。
この場所では毎年、花火大会が開かれます。
日本最大のカルスト台地を鮮やかな光が照らします。
46回目の今年は9月7日に開催されますが、これまでと大きく変わります。


秋吉台観光まつり実行委員会事務局 阿野太助さん
「今年度は、駐車場は事前予約制として、個人協賛、観覧エリア入場券をお客様に購入いただくということになります」

去年までは無料でしたが今年は、すべての観客を「個人協賛」として、有料化することにしました。

その理由は、費用の高騰です。

阿野さん
「花火代でもだいたい1.3倍、シャトルバスも1.1倍から1.2倍くらいの範囲、平均すると去年に比べて1.3倍くらい上がっているんじゃないかと」

秋吉台の花火大会はカルスト台地の上、展望台周辺が観覧エリアです。
そこまで上ってこないと見ることができません。
そうした特別な環境が全観客の有料化を可能にしました。
花火を守り続けるための、苦渋の決断でした。

阿野さん
「今のままでは、とてもこの花火大会を実施するのは難しい。苦渋の決断というか、本当にお客様にご協力、ご支援いだだきながら、思いは継続的にできる花火大会にしていきたいと」

今年の状況を見て、来年以降のあり方を検討します。

こうした厳しい状況は秋吉台の花火に限ったことではありません。
今、多くの花火大会が危機に見舞われています。
物価高騰のあおりで花火の打ち上げや警備などの費用がこれまで以上にかさんでいます。
寄付金の上積みなど収入増を図ったり規模の縮小を検討したりと、存続へ、知恵を搾っています。

ここでは毎年、「萩日本海大花火大会」が開かれます。
地元の住吉神社の祭りを起源とする「萩夏祭り」は、
毎年8月1日からの3日間開かれ、10万を超える人でにぎわいます。

その初日に行われる花火大会は地元の人にとって、欠かすことができないものです。

地元の人
「昔は地元の越ヶ浜から船でね、海から花火を見よった」
地元の人
「近くで見られる。花火が近い。子どもとの思い出がたくさんあります」

萩市観光課 上田知由課長
「(市民にとって)夏の一大イベント。花火が上がるのが菊ヶ浜という海岸。萩市民にとって菊ヶ浜はふるさとの一番の風景だと思います。そこに上がる花火は夏の風物詩、夏の思い出ですね。子どもたちにとってはひと夏の思い出。私もそうでしたけども、甘い、苦い、思い出が詰まったイベント」

地元に愛されるこの花火大会も厳しい状況は例外ではありません。
費用の高騰で、2018年には1万発が打ち上がっていたものが、去年は2000発にまで減らさざるを得ませんでした。
警備など、人件費の高騰も重くのしかかります。

花火大会を守ろうと、市などで作る実行委員会は、ある企業に支援を求めました。

キリンビールのブランド「晴れ風」で展開されている「晴れ風ACTION」。
売り上げの一部を使って、「日本の風物詩」を未来へつなぐための支援をしていてその第二弾が「花火大会」。

全国の自治体が支援先で、萩市も選出されました。

上田課長
「なんとか途絶えさせないために、続けるために、いろんな方にご協力いただいてキリンビールさんにも花火の支援をいただけるというお話しを受けましたので、地域を盛り上げるために、つなげるためにも応募してそういうことに使えないかなと」

購入することで、0.5円が自動的に全国への寄付金になります。
さらに、「晴れ風」の専用サイトにアクセスすると1日1回、0.5円分の「晴れ風コイン」が無料で付与されて、応援したい自治体を選んで、寄付することができます。
寄付金が、各自治体の活動資金として送られる仕組みです。

実行委員会では、寄付金を花火大会をはじめとしたまつりの運営費用にあてる予定です。PR効果にも期待しています。

上田課長
「キリンビールさんのネットワーク、情報の発信力ですね。全国にPRができるのは、大変貴重なツールでもありますので、全国の方に来てもらえるようなPRができるんではなかろうかと。日本海に咲く花、それを景色とともに多くの方に見たいただきたいなと思っております」

日本の夏の風物詩、花火。
次の世代に受け継ぐための試行錯誤が続いています。

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