一口に革製品と言っても、最近は様々な広がりを見せています。
動物の革を使った工芸『レザークラフト』の魅力に迫ります。
ショルダーバッグに、ミニ財布。
これらは動物の革を用いた工芸・レザークラフトの製品です。
長野市青木島町の『The Leylines(ザ・レイラインズ)』。
お客さんのオーダーも聞きながら、暮らしや趣味で使える革製品を作っています。
鎌田学さん:
「シェラカップって言って、アウトドアで使うやつなんですけど、そこの持ち手を革で巻きました。火にかけるので熱くなるんですよね、熱さ防止というか」
20年ほど前から独学でレザークラフトを始め、12年前に自分の店を持った鎌田学(かまだ・まなぶ)さん。
得意とするのは革製品のリメークです。
鎌田学さん:
「バスケットボールをキーホルダーにしたものです」
小学生のバスケットボールチームから、引退する子どもたちに贈る記念品の注文を受け、実際に使っていたボールをリメークしました。
鎌田学さん:
「思い出じゃないけど、擦れているところとか見ていて面白いですよね。味になると思います」
さらに、役目を終えたランドセルから作っているのは…
鎌田学さん:
「これで完成ですね。キーケースです。ランドセルも6年終わればそこで終了なんですけど、それじゃもったいないので、思い出と一緒に形を変えてまた使ってもらえればいいなというのがあって。リメークはそこが一番いいところかなと思います」
鎌田さんは、職人ごとに得意な分野やアイデアが異なるのも、レザークラフトの魅力だと話します。
「作り手も増えてきたというのもあるので色んなものが出てきますよね」
こちらは、2014年に長野市南長野にできた『IVY PRODUCTS(アイビープロダクツ)』。
元カバン職人の髙橋元康(たかはし・もとやす)さんが、バッグや財布以外にも手がけているのが…遊び道具です。
髙橋元康さん:
「これ将棋盤になっていて、革で遊び道具を作りたいというのが始まりなんですけど。(Q:実際に遊べるんですか)遊べます」
表面に印刷ができないため、色の異なる革で駒の文字を表現。
革ならではの質感を楽しめます。
さらに、チェスなどのボードゲームも、革で作ってしまいました。
髙橋元康さん:
「これも旅行先とかに持っていってもらったり、おしゃれな家とかにあればいいんじゃないですか」
そして、こんな製品も…
「ハロウィンのパーティーで着けていったらいいんじゃないですかね」
これらは髙橋さんの好奇心から生み出されています。
髙橋元康さん:
「遊びで作っていると楽しいというのがあって、(遊び心を)表現するにはすごく面白い素材だと思います」
職人それぞれの個性が光るレザークラフト。
髙橋さんによりますと、インターネットにより、大口でなくても革を仕入れやすくなったことで、レザークラフトの専門店が増えてきていて、長野市だけでもおよそ10年で少なくとも3店舗が新たにできたということです。
遊び心を表現する髙橋さんと、リメークを得意とする鎌田さん。
2人の職人に共通するのは、ものを大切にする意識です。
鎌田学さん:
「革自体も食肉からの副産物。そこもSDG’sになるだろうし。革の端切れとか余ったりするんですけど、そういうのを極力少なくできるだけ製品にしたい」
記者が着けているこの蝶ネクタイも、鎌田さんの作品の一つ。
切れ端で何かできないかと考え、作ったものです。
一方、髙橋さんが、残った材料で試しに作ってくれたのは…
「捨てられないんですよね、何かで使えそうというのがけっこうあるので」
折り鶴です。
わずか15分ほどで完成しました。
髙橋元康さん:
「紙だとピシッとしちゃうんですけど、ゆがみも一個一個違う固体になっていく感じですね。ものを大事にして、大切に長く使うのが一番無駄が少ないというのを、常々考えているので」
既存の枠を超えていく、レザークラフトの作品。
動物の革を無駄にすることなくお客さんに届けたいという思いが、個性豊かなものづくりの原動力になっています。
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