相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年、入所者ら45人が殺傷された事件の発生から8年となった26日、園内では県などによる追悼式が開かれ、参列した遺族や利用者ら89人が黙とうをささげた。  園を運営する社会福祉法人かながわ共同会の山下康理事長は、式辞で、最高裁が旧優生保護法を憲法違反と初判断したことに触れ「生きる価値のない命などない。人間の尊厳を踏みにじり、人権を侵害する考え方を正当化することは、憲法とは全く相反する」と述べた。事件で起訴された植松聖死刑囚が公判で「意思疎通のできない障害者は不幸を生む」などの差別発言を繰り返したことが、念頭にある。

鎮魂のモニュメントに献花をする津久井やまゆり園利用者の奥津ゆかりさん(左)と永井清光園長=相模原市緑区の津久井やまゆり園で(古川雅和撮影)

 式典後、記者会見した黒岩祐治知事は、県内の障害者施設で職員による暴行事件などの発生が続いていることを例に挙げ、障がいが理由の差別や虐待のない社会をつくる難しさを指摘。「何とかして克服していけるよう前進していかなければならない」と語った。相模原市の本村賢太郎市長も共生社会の実現を誓った。  事件で亡くなった美帆さん=当時(19)=の母(60)は、追悼式の後に園を訪れ、ヒマワリのブーケを献花台にささげた。娘の笑顔を思わせる花だという。「夏の雲を見るとあの日を思い出す。安らかに、と皆に声を掛けました」と話した。花を手向けていた近所の元介護職の80代女性は、差別や虐待は「あってはならない」と断じた。(古川雅和、米田怜央) 

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