青森市の八甲田山系で、女性がクマに襲われて死亡した事故から25日で1か月です。

クマは未だ捕獲されないため、現場周辺の入山規制は解除の目途が立っておらず、周辺の事業者などは終わりの見えない事態に不安を抱いています。

6月25日に発生したクマによる女性死亡事案

八甲田山ガイドクラブ 相馬浩義代表
「要はやばいクマなんですよね。通常のクマじゃないクマなので、そういうのがいるとなると、(入山規制も)仕方ないと思いましたけどね」

八甲田で36年山岳ガイドをしている相馬浩義さんにとって、八甲田の入山規制は初めての経験だと言います。

発端は6月25日、青森市の八甲田山系で、タケノコ採りに訪れた80代の女性がクマに襲われて死亡しました。現場周辺では、ほかにも人がクマに襲われる被害が2件発生していたため、国や県などは6月29日、被害現場を中心に半径約3キロの範囲の入山規制に踏み切りました。

白川舞アナウンサー
「八甲田の登山口です。入山規制からおよそ1か月、現在も山に入ることができません」

これにより、タケノコ採りや登山を楽しむ人が入山できなくなり、八甲田周辺の事業者には大きな影響がでました―。

解除の目途立たない入山規制

相馬さんが代表を務める八甲田山ガイドクラブでは、入山規制を受けてキャンセルが相次いだといいます。

八甲田山ガイドクラブ 相馬浩義代表
「仕事は減りましたね。ツアー登山は全部なくなったし。捕まえるのが一番ベストだと思いますけど、ただ簡単じゃないですよね」

また、閉鎖された登山道のそばにある民宿・食事処の「又兵衛の茶屋」では、食事などに訪れる登山客がいなくなり、7月の売り上げは平年の半分以下に落ち込んでいるといいます。店主の山本柳蔵さんは、この規制がいつ解除されるか分からないことに不安を抱いています。

又兵衛の茶屋 山本柳蔵さん
(※「蔵」の「くさかんむり」は分かれています)
「区切りをどこでつければいいのかっていう悩み。専門的な人たちが話し合ってOKってかけてくれればいいけど、われわれ店が『みなさまいらっしゃってください』って喋られないし…」

県や青森市によりますと、規制の解除については現状決まっているものはなく、市は区域内に仕掛けた5つの「わな」でクマを駆除できるよう対応しているとしています。

専門家は…

八甲田で人を襲ったクマの駆除が終わらない中、クマの生態に詳しい専門家は、駆除されなければ再び被害が起きる可能性があると指摘しています。

50年以上に渡り、クマの生態を調べてきた米田一彦さんは、八甲田で被害が起きた後、青森に入って調査にあたりました。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦 理事長

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦 理事長
「(八甲田での被害が)起きた場所は、密集した笹の中で収容が難しいと最初から分かっていた地域。ああいう事件が起きた場合、徹底的に『わな』をかけて周辺のクマを拡散しないようにしなければいけない。あのクマがまだ駆除されていないので、初夏に入山すると事故がまた起こる可能性ある」

米田さんは2024年は気温が高い日が続き、クマのエサが早めに実っているとみています。このため、早く食べ進めた場合、秋以降、人里に出没する可能性もあると言います。

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