能登半島地震の被災者は、石川県の金沢や加賀地区での2次避難を終えて、徐々に地元に戻っています。

被災地では仮設住宅の建設や入居が進む中ですが、被災者の中には倒壊などのリスクがあっても自宅で生活するほかない住民もいます。市や町で異なる課題も浮き彫りになっています。

中堂律子さん「(市に)すぐに返事くださいって言われて、断ったら次どこに入れるかわからないから(珠洲に)帰ろうって」

珠洲市蛸島町の仮設住宅に住む中堂律子さんは、2DKの間取りの部屋に夫と2人で住んでいます。

もともと長男夫妻と孫らあわせて7人で暮らしていましたが、1月の地震で自宅は全壊し、今は仮設住宅で3戸に分かれてそれぞれ生活しています。

中堂律子さん「続きでとれたから、隣ならいいなって。よかったです、孫も遊びに来るから」(Q ここに4人は?)「とてもじゃないですけど無理」

槌谷博之さん「これも全部倒れているでしょ?全部下がっている」

輪島市名舟町の槌谷博之さんは、自宅近くの仮設住宅に入居が決まったことから7月はじめ、金沢市内の2次避難先から半年ぶりに地元に戻ってきました。

しかし、現在は仮設住宅ではなく傾いてしまった家の2階で寝泊まりしていました。

槌谷博之さん「何かあったらまず1階が全部潰れるでしょ?2階は残っても。輪島の家とかほとんど1階はぺちゃんこでしょ」

自宅のすぐ近くの山には、亀裂が入っているように見えます。

槌谷博之さん「国交省が調べた結果、いつ山が崩れてくるかわからない」

家屋の倒壊や土砂崩れのリスクがあっても槌谷さんがこの家に住む理由は、仮設住宅の「狭さ」です。

入居が決まった木造長屋建ての仮設住宅ですが、部屋には両親が住んでいました。

槌谷博之さん「寝るときはここに2人、ここにもう2人…」(Q 4人で住むのはやめた?)「もうやめました」

入居が決まったのは2DKの間取りの部屋で、もともと両親と妻の4人で住もうと考えていましたが、狭いことがネックになり断念したということです。

母・槌谷トヨコさん「4人のところに2人だけで住んでいるからこんなもん。これが4人ならものすごく狭い」
槌谷博之さん「(地震あると)ミシミシミシッ!とけっこう揺れるけど、仕方ない。住むところないし。ここ(仮設住宅)じゃ住めん、狭すぎて。そんなん多いですよ、傾いている家に住んでる人は」

仮設住宅の入居基準は、県の方針に沿いながら自治体によって異なります。

1DKには珠洲市、能登町、穴水町は1人ですが、輪島市は1人から2人です。このほか2DKや3Kへの入居についても輪島市は他の自治体よりも人数が多くなっています。

輪島市では、仮設住宅の個数が多いことがその理由になっているようです。

輪島市で必要な仮設住宅の数は2897戸で、他の市や町に比べ圧倒的に多くなっています。早く戸数を確保する必要があるため、1DKなど小さなタイプの住宅が多いということです。輪島市の仮設住宅では窮屈な生活を強いられているようです。

避難生活から仮設住宅での生活にステージが変わった今、新たに生まれた課題への対応も行政には必要といえそうです。

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