客による暴言や理不尽なクレーム「カスタマーハラスメント=カスハラ」が今、問題となっています。

調査によると、サービス業で働く2人に1人が悪質クレームの被害にあっているという結果も。広がり続けるカスハラの実態を取材しました。

「態度が気に入らない」と暴れる客 警察に通報する事態に

2024年6月、沖縄県のラーメン店で起こったカスハラの様子が映像に残っています。2人組の男性客が注文したラーメンを食べ始めますが、しばらくすると態度が急変。

(ラーメン店の店長)
「一味が欲しいと言われて、一味唐辛子を提供したんですが、態度が気に入らないと。『ふざけんなよ、お前の態度』と言われた」

男性客は難癖をつけ、店員に突然つかみかかろうとします。

ラーメンをカウンターや床に“ぶちまける”

そして、自分のラーメンをカウンターの中にぶちまけました。さらに、一緒に来た客のラーメンも床にまき散らし、店から出て行きました。

翌日、謝罪に訪れた男性は「酔っぱらっていて覚えていない」と話しました。しかし、店側は酒の上のことでは済まないと、警察へ被害届を出す予定です。

タクシー会社から提供された映像では、乗客が運転手の態度が気に入らないと難癖を付け始めます。運転手は謝り続けますが、乗客は聞くに堪えない暴言をぶつけました。

別の映像では、乗客が暴れて、運転手はたまらず警察に通報。すると、乗客は運転手に唾を吐きかける暴挙に出ました。

対応した職員がうつ病に 脅迫などの疑いで書類送検も

カスハラが犯罪までエスカレートしたケースも。

愛媛県の伊方町役場では、自治体から委託を受けているバスの運転手が、バスの車内がガソリン臭いと役場にクレームを入れました。録音された音声では、クレームの怒鳴り声が、次第に脅迫めいた内容になっていきます。

(バスの運転手)
「木刀持って後ろから、ぶち破ってもいいくらいやぞ」

担当職員はその後、男の家にも呼び出され、夜から朝まで約8時間もクレームを受け続けたといいます。職員は、うつ病のような状態になり、役場を退職。男は脅迫などの疑いで、5月に書類送検されました。

伊方町役場では、今回の問題を受け、カスハラの対応部署を新たに設置しました。

職員の実名がネットにさらされないように、名札はひらがなの名字だけの表記に変更。防犯カメラを9台設置しました。それでも、カスハラへの対応は難しいといいます。

(伊方町役場 総務課長)
「公務員ですので、立場上、強く出られない。気を使うことが多い」

AIを使った「カスハラ」への対応トレーニングも

全国各地の自治体は、カスハラ対策の条例制定を目指し、動き出しています。タクシー会社には、カスハラ乗客への乗車拒否や慰謝料請求を、会社として打ち出すところも。

カスハラの対策にAI(人工知能)を利用する取り組みも行われています。「インタラクティブソリューションズ」のソフトでは、カスハラをしてくるAIに対応することで、いざという時のためのトレーニングをすることができます。

このシステムは、すでに大手製薬会社や銀行のカスタマーセンターで導入されています。

(インタラクティブソリューションズ・関根潔社長)
「元々は対話(トレーニング)のソフトです。シーンを『怒っている』に設定すると、カスハラのトレーニングにもなります」

話すプロのCBCテレビ若狭敬一アナウンサーが、「洋菓子店の店員」としてAIによるカスハラに対応してみました。

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