集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法は憲法に違反しているとして2016年に長崎の被爆者らが起こした国賠訴訟について、最高裁は原告側の上告を棄却しました。

決定は4月10日付で出され、最高裁が受理すべき「法令解釈に関する重要事項を含まない」などとして上告を退けました。

●新安保法制違憲長崎訴訟原告団長・川野浩一さん(84)「率直に言ってがっかりした」

「安全保障関連法」は2015年に安倍政権下で成立。憲法上許されないとされてきた「集団的自衛権」の行使が可能となり日本の安全保障政策は大きく転換しました。原告の被爆者らは戦争につながる危機感を背景に、憲法9条違反や平和的生存権の侵害などを訴えてきましたが、憲法判断は示されないまま原告の敗訴が確定しました。

新安保法制違憲長崎訴訟弁護団は「今回の最高裁の判断は政府の暴走に迎合し司法としての役割を放棄するものと言わざるをえない」とする声明を発表。原告の1人で被爆者の田中重光さん(83)は「(安保法制を根拠に)台湾有事になれば真っ先に自衛隊が派遣されるだろう。本当に物騒な日本になってきた」などと危機感を訴えました。

原告らは5月に報告集会を開き、今後の方針を決める予定です。

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