警視庁によりますと、2023年の子どもの水難事故は約6割が川で起きているということです。溺れたとき、そして「助けるとき」は何をすればよいのでしょうか。緩やかな川の流れに潜む危険とは?服を着たまま溺れたら?そして、子どもの事故を未然に防ぐ方法とは?
「夏休みの始まりは特に注意」子どもの水難事故 5割超は川で発生
中学生以下の子どもたちの水難事故の5割超は川で起きていて、特に子どもたちにとっては注意をしなくてはいけない場所だといえます。
中学生以下の水難による死亡・行方不明者の場所別の数(2022年の1年間・警視庁発表)
河川 ▼53.8%
海 ▼15.4%
その他
水難学会の斎藤秀俊会長は「夏休みの始まりは特に注意が必要」、「保護者が不在で子どもだけで身近な川に入ってしまい事故に遭ってしまうケースも。安全そうな川でも大人でも命に関わる危険が潜んでいる」と指摘しています。
「緩やか」「浅い」ような場所こそ、油断して危険
透明度の高い川は石が見えることなどで浅く感じて「危険ではない」と判断しがちですが、水の屈折で浅く見えているだけで、実際は3割程度深いということです。
水難学会の斎藤会長は「深さを確かめずに川に入ると、足がつかず溺れてしまう恐れもある」としていて注意が必要です。
また、川底の“斜面”が急激に深くなる場合もあるということです。
▼川底が砂利の場合、斜面が崩れて戻れない
▼垂直姿勢で体が沈むと、泳ぎの姿勢をとるのは困難
本流と合流して急激に深くなる場所もあり、踏ん張りがきかない川底になっているといいます。
さらに、流れが緩やかな場所にこそ危険が潜んでいるそうです。
水難学会の斎藤会長によると、「流れが緩やかな場所ほど急に深くなっている。『浅いだろう』と油断して溺れてしまうケースが多い」ということです。
「川遊びをする前に必ず家族で深さを確認し、大人が子どもの近くで一緒に遊んであげることが重要」、「川遊びはひざ下の深さまで」と注意を呼びかけています。
さらに、雨で増水した後の川には注意が必要です。水難学会の斎藤会長は、「水の量が元に戻っても、川底がえぐれて深さが変わっている可能性がある。きのうは大丈夫でも、きょうは違うと思うことが大切。一歩ずつ確認を」としています。
服着たまま溺れたら“浮いて待つ” 「声を出す」「手をあげる」はNG
溺れてしまった場合、どうしたらよいのでしょうか。
日本赤十字社によると、「服を着たまま泳ぐとすぐに疲労がたまり危険性が高くなる。まずは落ち着いて浮いて、救助を待つことが基本」だということです。
▼目線は真上
▼大きく息を吸う
▼靴は脱がない(靴には浮力がある)
▼力を抜いて手足を大の字
鼻や口を水面から出して呼吸できる状態で助けを待つことがポイントです。
また、
▼声を出す(肺の中の空気が出て沈む)
▼手をあげる
といった行動は「NG」だということです。
なぜ、「手をあげる」行為がNGなのでしょうか。
真水と人間の比重は基本的に1対0.98で、体の2%だけが浮くということになります。両手をあげてしまうと手の部分が浮く2%になり、頭が沈み息ができなくなってしまうということです。
子どもが溺れたら水に入らず…浮き具代わりのペットボトル・クーラーボックスを渡す
子どもが溺れてしまった場合、原則として「水の中に入って助けない」ことが大事だそうです。
溺れた子どもを助けに行くと、必死に抱きついたり上からのしかかってきたりするので、最悪の場合、2人とも命を落としてしまう危険性もあります。
まずは、消防署119番に通報(海の場合は海上保安庁118番)し、浮き具の代わりになるものを陸から渡すことが大事です。▼ペットボトルや、▼クーラーボックス、▼お菓子の袋などが浮き輪の代わりになるといいます。
溺れた子どもがなんとか届きそうな距離にいる場合は、長い棒やシャツ、ズボンを差し出して引っ張り上げることができるようです。
ライフジャケットを持っていくことも重要です。斎藤会長は、ライフジャケットは“川のシートベルト”としていて、川の中だけではなく、水際でも着用してほしいということです。
子どもと川で遊ぶ際は、大人が下流側にいることが重要です。子どもが流されることを想定して準備をするとよさそうです。
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