みなさんは「猫舌」ですか?
私は猫舌ではないのですが、私の周りには「猫舌」の人が多くいます。冷まして食べているのを横目で見ながら、「アツアツの方が美味しいのになあ」「冷まさないと食べられないのはすこしかわいそうだなあ…」と思っています。
しかし、「猫舌」について調べてみると「冷まして食べなくても済む」方法があることがわかりました。歯科医が教える「舌」をヤケドしない方法とは?
「アツアツ」のものでも平気で食べられるのは才能…?
私はアツアツの物を食べるのが好きです。
温かい食べ物や飲み物は「温かいうちに食べる」という教えが深く刻まれているせいか、慣れなのか、熱くてもヤケドをせず食べられてしまうことがほとんどです。
一方、世の中には「猫舌」の人もいて「熱いものが食べられない」「絶対に冷ましてから食べる」という人もいます。熱くても気にせず食べられる私は、猫舌の人と出会ったとき、それはそれは衝撃を受けました。
「やった~!出来立ての料理だ!」
「…」
「あれ、食べないの?」
「猫舌だから、あついもの食べられないんだよね」
「私も口の中をヤケドすることはあるんだけど…そんなに食べられないものなの?」
「小さいころから、冷まさないとダメなんだよね。逆に凄いね、才能じゃん」
「…才能なのかな?」
「猫舌」はいつ、どう決まるのでしょうか?育ってきた環境?遺伝?
顔面神経痛などに詳しい歯科医の野村洋文さんに聞くと、猫舌に関する意外な事実がわかりました。
猫舌の原因は「思い込み」と「食べ方」だった
ーーそもそも、猫舌って何なのでしょうか。
「猫舌」は熱いものが食べられない人を指します。
ーー遺伝的に熱いものが苦手だったりするものなのでしょうか?
猫舌には「思い込み」と「食べ方」の2種類があります。
「思い込み」については「自分は絶対熱いものは苦手」と思い込んでいる人。
子どもの時のしつけや育ちも関係してくると思います。親が猫舌だと、子どもにもよく冷まして食べさせていて、子どもも猫舌になったり、しつけが厳しい家庭だと、食べるときに緊張して、舌筋が上手く動かせずに、熱いものが苦手だったりすることがあります。
次に「食べ方」について。
元々、舌の先端部分は熱に敏感な構造を持っているのですが、猫舌ではない人は、無意識に舌の先端を守りながら熱い食べ物・飲み物を口にしているんです。
猫舌の人は、舌を伸ばしたまま食べているため、熱に敏感な舌の先端に触れてしまい熱く感じているのです。
ーーん?それだけの違いですか?
そうですよ、遺伝でも病気でもありません。舌の温度感覚に個人差はないのです。舌の先端を上手く隠しているか、隠していないかだけの違いなんですよね。
言うなれば、動物はみんな猫舌です。神経や脳の違いがあるという訳でもないです。なので、舌の使い方の問題なんですね。
ーーですが、熱い物が得意な私でも、口の中をヤケドすることもあります。
もちろん、誰であっても70℃を超える食べ物を食べたり、飲んだりした時はヤケドを起こします。しかし、口の中は本来50~60℃は耐えられると言われていて、人間が粘膜で耐えられる温度にあまり個人差はありません。
どうすれば、舌をヤケドせずに食べれるの?
ーーなるほど。では、猫舌の人はどうすれば舌をヤケドせずに食べることが出来るんでしょうか。
熱いものを食べるときは、舌の中央部分もしくは奥の方に乗せる。熱い飲み物を飲むときは、上あごに舌をくっつけ、下のスペースを作って、そこに飲み物を流し込む。もしくは、下の歯の裏に舌先をくっつけて、飲む。とにかく、舌の先端を守るとヤケドしないですよ。
ーー練習すれば、誰もが猫舌を克服出来るという事ですか?
はい。猫舌の人は「舌の使い方が上手くない」ということです。意識してとにかく舌を良く動かす、これにつきます。
舌を動かすことで、舌の筋肉(舌自体が筋肉です)が鍛えられ、正常な呼吸、正常な摂食嚥下(噛んで飲み込む)が確立され、全身の健康維持に大きく役立ちます。
さらに、筋肉を通る神経は脳に直結するので、脳が活性化され、認知能力の維持・向上にも大きく影響を与えてくれますよ。
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猫舌だから絶対に熱いものが食べられないという訳ではなく「舌の使い方」の問題だということがわかりました。熱いものを食べたり飲んだりするときは舌の位置を意識してみてはいかがでしょうか。
取材:TBSテレビ デジタル編集部・小林愛
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野村洋文(のむら ひろふみ)
日本大学歯学部卒業
トロント大学歯学部留学
日本大学大学院歯学研究科卒
歯学博士
食と口の評論家の肩書で口腔医療の啓発活動に専念している
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